【特集】今注目浴びる“遺体ホテル” 「一週間待ちは常識」“多死社会”で長期化する「火葬待ち」 誰が、どのように活用するのか?そのサービスを深堀取材
首都圏を中心に深刻化する「火葬待ち」問題。火葬場不足により遺体安置の期間が長期化しており、頭を悩ます人も少なくありません。そんな中、注目を集めているのが、“遺体ホテル”と呼ばれる一時的に遺体を安置できる施設。24時間、遺族がいないときにも面会可能で、ご遺体と一緒に過ごすこともできます。一体、どんな施設なのか?取材しました。 【独自解説】相次ぐ“操作ミス”が原因の高齢ドライバーによる事故 一方で免許返納は減少傾向…そこにある課題は?ライドシェアは救世主になる?
「一週間は普通」深刻化する“火葬待ち”その背景には、日本特有の事情も
“多死社会”を迎えた日本。2022年、国内で亡くなった人の数は、調査開始以来過去最多となる約157万人。推計によると、死亡者数は2040年まで増加し続ける見込みです。 そんな中、問題になっているのが「火葬待ちの長期化」。首都圏を中心に深刻化していて、神奈川・横浜市では令和4年度(2022年)の実績で、平均5~6日待つことになるといいます。 (横浜市民) 「火葬待ちは、 今や常識。1週間は普通です」 「ご遺体もかわいそうだし、家族としても心苦しいですよね」 (夫を亡くした女性) 「2023年11月18日に主人が亡くなって、葬儀ができるのが一番早くて24日でした。だから、6日待ちました。もう大変でした」
横浜市では、臨海部の埋め立て地に新たな火葬場を建設する計画が進められています。 (横浜市環境施設課・山口真斎場整備担当課長) 「将来的に、2065年ぐらいまで火葬ニーズを満たせるような数ということで、火葬炉16炉を設定しました」 横浜市は2026年10月の運用開始を目指していますが、資材高騰などの影響もあり、施工業者はまだ決まっていないといいます。
火葬場の現状に詳しい専門家は―。 (火葬研・武田至代表理事) 「火葬炉の回転数を上げられないのが、一番の課題です。火葬して収骨を行いますので、どうしても昼の時間に集中することがありますし、会葬者がいるので、なかなか効率を上げるのは難しい」 さらに、日本特有の事情もあるといいます。 (武田代表理事) 「日本の場合、病院で亡くなったら、すぐ遺体を他の場所に移さなければなりませんが、欧州などは1週間ぐらい病院で預かってくれます。韓国は、病院に葬儀場まで併設されていて、そこで遺体を安置して、病院で葬儀もできます」