太りにくくて痩せやすい体質になる「ケトン体」とは?
「ハイブリッドなエネルギー消費」を実現するケトン体の可能性
ダイエットは、IN(摂取カロリー)とOUT(消費カロリー)のバランスがポイントとなるが、生活習慣病を中心とした患者を多く診察している池谷氏は、従来のIN/OUTを制御するダイエットでは多くの人が失敗していると話す。 「食事制限も運動もなかなか続かない、辛い割にはなかなか成果が出ない、こうした患者さんの声を多く耳にします。個々の体質の問題もありますが、年齢と共に基礎代謝の低下で太りやすく、痩せにくい体質になってしまっているということが背景として挙げられます。 厚生労働省の調査でも、30代から体型の変化を実感し、9割が年齢と共に痩せにくくなると感じているというデータがあります。 一方で、基礎代謝の低下でメタボ体型に悩む方たちに調査したところ、多くの方が『体重を減らしたい』ではなく、『太りにくい体質になりたい』と望んでいることがわかりました。 加齢に伴う代謝の低下を補うような『太りにくく、痩せやすい体』になる体質改善ができれば、これらの課題はクリアされます。この課題に有効と思われるのが、ケトン体です。 代謝の改善に重要なのは、細胞のエネルギー生産工場ともいわれるミトコンドリアです。私たちの体は通常、食事で摂取した糖質を分解してエネルギー源としています。 また、糖質が不足した際には脂肪を分解してケトン体という別のエネルギー源をつくり、細胞内にあるミトコンドリアでエネルギーに変換しています。つまり、ミトコンドリアの活性化は脂肪の燃焼にもプラスの作用をもたらします。 本来、体の中では糖質の枯渇を経て作りだされ、脂肪をエネルギーに変えるのがケトン体。現代人にとってケトン体は、厳しい糖質制限をやり抜いた人だけが与えられる、“神様からのプレゼント”のようなものです。 体内でケトン体が発生するほどの厳しい糖質制限は、多くの人が挫折します。そのケトン体を外から補充できるとしたら、非常に画期的なダイエット法になり得ます。 ケトン体という新しいエネルギー源を活用できる体とは、車で例えればハイブリッドカーのようなもの。これまでのIN/OUTダイエットとは異なるコンセプトで、ハイブリッドなエネルギー消費経路を活用することで、自分らしい体型をキープする助けになります。 『おなかポッコリ』『メタボ』は内臓脂肪増加によるもの。見た目だけでなく、生活習慣病やがん、脳神経疾患、腎不全、認知症など、さまざまな疾患と内臓脂肪との関連が指摘されています。 『太りにくく痩せやすい』体質をサポートするケトン体は、健康寿命を伸ばしていくことに寄与するのではないかと思っています」(池谷氏) 後編では、日本でも食品としてケトン体を取り入れることが可能になると期待されている「天然由来ケトン体」について紹介していく。 取材・文/阿部純子
@DIME編集部