【肝臓から脂肪を落とし、痩せ体質になる方法】運動は大切、でも頑張らなくてもOK!筋肉量をアップして脂肪を燃焼。そしてちょっと意外?口腔ケアも忘れずに
歯磨き不足は肥満を加速させる?
ところで、筋肉維持に口腔内の健康が大きくかかわっているということをご存じだろうか? 「『歯周病の原因菌が骨格筋に脂肪をつける』という論文が、2020年11月に発表されました。口の中にはプラーク(歯垢)があり、プラーク1mg当たりには、多い人で10億個もの細菌がすんでいます。そして、これらの細菌のうち、歯周病菌の原因菌が口の中から腸まで届くと、腸内環境を変え、それが筋肉の脂肪化につながる可能性が示唆されました。筋肉に脂肪がつくと、筋肉の機能が低下してしまいます」 特に骨格筋は、ブドウ糖を取り込んでエネルギーとして消費するという役割を持っているが、筋肉に脂肪がつくとこの機能が低下し、どんどん肥満が進んでしまうそう。 「そこで、1日に最低2回は歯磨きをしましょう。必要に応じて、歯ブラシだけでなく、歯間ブラシを使って歯垢を除去するのがおすすめです。 また、口の機能低下は、全身の筋力低下につながり、過剰な体脂肪がつく肥満にもつながります。舌や口のまわりの筋力が低下すると、唾液の分泌も減少してしまいます。唾液が減ると消化力がダウンし、代謝にも悪影響を及ぼします。 さらに、舌の筋肉は全身の筋肉と相関関係があり、『舌の筋肉が弱ると、歩行速度や握力、脚力が低下する』という調査結果も出ています。全身の筋力が衰えると、代謝が落ちて太りやすくなってしまいます」 舌や口のまわりの筋肉を鍛えるには発話をすることが大切だと栗原先生。 「そのほか、舌を付け根から上下左右に動かしたり、反らせたりといった運動も、舌の筋肉の衰えを防ぐのに効果的です。 このように、脂肪をため込みやすい体質になる原因は、日々のさまざまなところにあります。ぜひこうした生活習慣を見直して、肝臓に余分な脂肪がつかないよう気をつけてください。そうすることで、ダイエットが成功したり、肌がきれいになったりといった体によいことがたくさん起きると思います。そして、それは将来、重大な病気を引き起こすのを未然に防ぐ対策でもあります。 肝臓を守るための食事や生活習慣を身につけることで、一生モノの健康法を手に入れてください」 【教えてくれたのは】 栗原毅さん 医学博士、栗原クリニック東京・日本橋院長。北里大学医学部卒業。慶應義塾大学大学院教授、東京女子医科大学教授を歴任。2008年、メタボリックシンドロームや糖尿病などの生活習慣病の予防と治療を目的とした、栗原クリニック東京・日本橋を開院。おもな著書に、『図解で改善! ズボラでもラクラク! 1週間で脂肪肝はスッキリよくなる』(三笠書房)、肝臓専門医の視点を生かし、肝臓病や糖尿病、高脂血症などの「生活習慣病」の治療に従事。 イラスト/内藤しなこ 取材・原文/瀬戸由美子