「完全な違法駐車」でも、車内に人がいるとお手上げ…警察官にできて、「緑の人」にはできないこと
■駐車違反で取り締まられるボーダーライン ちょっと買い物しようと車を離れただけなのに、戻ったら黄色の駐禁ステッカーが貼られていた……という人も多いだろう。 【図表】「黄色いステッカー」の取り付け件数(平成25年~令和4年) このような悔しい思いをしないためには、駐車ルールの正しい知識を知っておく必要がある。どういう場合にアウトとなり、はたまたセーフになるのか、その境目を3つ挙げよう。 ---------- ① 駐車違反に当たるか ② たまたま警察官や駐車監視員に遭遇するか ③ 駐車監視員の取り締まりについては「確認事務」の対象か ---------- ■運転席に人がいても違反になるケース ① 駐車違反に当たるか そんなの当たり前だ、と普通は思うだろう。しかしこれ、じつはけっこう奥が深いのだ。 そもそも「駐車」とは何か。道路交通法(以下、道交法)の第2条第1項第18号に定義がある。定義は2つに分かれる。ひとつ目はこれだ。 ---------- 車両等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること(貨物の積卸しのための停止で五分を超えない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く。) ---------- 「人の乗降のための停止を除く」とあるが、人待ちはアウト。たとえば弁当店の前で同乗者が降りて弁当を受け取りに行き、運転者はクルマで待つなんて場合、そこが駐車禁止場所ならばっちり駐車違反になる。 丸カッコ内の場合を除き、どんな理由があっても、継続的に停止すれば、それは駐車なのである。運転者が乗っていても、エンジンをかけっぱなしでも、急な故障でレッカー車を待つ間でも、違反は違反だ。
■「放置駐車違反」のほうが反則金が高い もうひとつの駐車の定義はこれだ。 ---------- 車両等が停止(特定自動運行中の停止を除く。)をし、かつ、当該車両等の運転をする者(以下「運転者」という。)がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態にあること ---------- 運転者がクルマを離れて直ちに運転できない状態の駐車違反、これを「放置駐車違反」という。5分以内の貨物の積み降ろしであっても、駐車禁止場所にクルマを置いたまま運転者が店舗や倉庫へ入ってしまえば、放置駐車違反になる。カッコ書きの「特定自動運行中」とは、つまり運転者が存在しない自動運転の場合だ。 反則金は「放置駐車違反」のほうが高額だ。たとえば駐車禁止場所における普通車の駐車違反、その反則金額は、非放置が1万円、放置が1万5000円だ。 ■交差点近くの駐車はとにかく禁止 単なる駐車違反と、放置駐車違反、2つあるうえ、さらに「指定駐車違反」(以下、指定違反)と「法定駐車違反」(以下、法定違反)がある。指定違反とは、標識により駐車禁止と指定された場所での駐車違反だ。これは分かりやすい。 法定違反とは、標識とは関係なしに、そもそも道交法に定められた駐車違反だ。たとえば道交法第44条は第1項で、交差点内、横断歩道上、横断歩道や交差点の側端などから5m以内の部分、踏切の前後10m以内の部分などを、駐車も停車も禁止としている。 場所だけじゃなく、駐車方法の違反もある。たとえば第47条第2項はこう定めている。 ---------- 車両は、駐車するときは、道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない ---------- 駐車禁止の標識がなくても、右側駐車は法定違反になるのである。これを「左側端(さそくたん)に沿わない駐車」という。バイクの歩道駐車もこの違反に当たる。 以上をまとめると、駐車禁止の標識があればもちろん、なくても駐車違反になる場合がある。それら駐車違反には、普通の駐車違反と、放置駐車違反がある、ということだ。ややこしいけれども、運転者はみな知っていることを前提に取り締まりは行われる。「よく知らなかった」は通らない。