【解説】「103万円の壁」引き上げ、自公国が合意 その背景と今後の課題
日テレNEWS NNN
自民・公明の与党と国民民主党の政調会長が20日も会談を行い、政府がまとめる新たな経済対策に「103万円の壁」の引き上げを盛り込むことで合意しました。日本テレビ政治部の佐藤正樹記者が解説します。 ◇ 鈴江奈々キャスター 「議論が始まってから約2週間。『103万円の壁』の引き上げが正式に決まりました。その背景には何があったのでしょうか?」 政治部 佐藤正樹記者 「ポイントは、20日に3党で交わした合意文書にあると思います。文書には、3党で『補正予算について年内の早期成立を期する』という文字が書かれています。どういうことかと言うと、政府与党は、物価高対策などのための『補正予算』を臨時国会に提出し、年内に成立させたい考えです。これが石破政権にとって当面の最大の課題でもあります」
佐藤正樹記者 「ところが衆議院では過半数を持っていないため、国民民主党に協力してもらう必要があり、『103万円の壁』の引き上げなどの要求をのむことで、補正予算案への『賛成』を取り付けたという形です」 鈴江キャスター 「これで正式に『103万円の壁』の引き上げが決まったということですが、今後の焦点は何に移ってくるのでしょうか?」
佐藤記者 「焦点は3つです。まず『103万円をどこまで引き上げるか』。そもそも『103万円の壁』というのは、超えてしまうと所得税が課され、学生などの場合は親の特定扶養控除から外れる“年収の壁”のことです」 「国民民主党は、これを178万円まで引き上げることを求めていますが、引き上げ幅を大きくすると『高所得者の方が減税の恩恵を受けやすくなる』との指摘もあるほか、ある自民党幹部が『178万円はあおりすぎ。もう少し落ち着いて議論すべき』と話すなど、どこまで引き上げるかが注目されます」
佐藤記者 「2つめは『いつからスタートさせるか』です。国民民主党は早ければ『来年度から』と主張していますが、準備期間や各所への影響を考慮して『再来年度から』のスタートとなる場合もあるほか、政府内からは『一気に引き上げるのではなく、段階的に行うべき』との意見も出ていて、スタートの時期も注目となっています」 桐谷美玲キャスター 「『103万円の壁』を引き上げると、手取りがアップする人もたくさんいる反面、税収は減る試算もあります。この財源の議論は、どうなっていますか?」