<ファーストサマーウイカ>貫いた“姫カット” 1年間「常に自分に大河を課そうと」 ききょう役「一番しんどかった」シーンは?
◇「一番しんどかった」和歌の会への乱入…
そんなグラデーションしていったききょうを演じてきて「一番しんどかった」と話すのが、第41回「揺らぎ」(10月27日放送)で、彰子(見上愛さん)の藤壺で開かれた和歌の会にききょうが乱入したシーンだ。
一条天皇(塩野瑛久さん)と定子の第一皇子・敦康親王(片岡千之助さん)を思っての行動ではあったが、ききょうは、「もう敦康様のことは過ぎたことにおなりなのでございますね」と、彰子を一方的に批判した。
「一番しんどかったです。撮影日がくるのが嫌だなと思ったくらい。次のシーンのまひろの日記があるがゆえ、今まで以上に印象的な展開でなければと。苦しかったですが、心を鬼にしながらも、心で泣きながら挑みました」
脚本の大石静さんに対しては「さすがです」と賛辞を送るファーストサマーウイカさん。
「ききょうは定子様が崩御されてから、『闇堕ち』とネットで表現されることもありましたが、ききょうにとっての“光る君”だった定子様が亡くなり、光を失ってしまった。闇に堕ちたのではなく、闇に包まれて何も見えなくなってしまったのかなと私は解釈していました。そして、定子様へのゆるがぬ信念や使命感ゆえに、闇の中でもがき苦しみ、悲しみが恨みになりどんどんと増長して、あのようになってしまったのだと、寄り添う気持ちでききょうと向き合いました」
◇大河のことが頭をよぎらない瞬間はなかった
そんな敵意むき出しだったききょうだが、第43回(11月10日放送)では「恨みを持つことで、己の命を支えて参りましたが、もうそれはやめようと思います」と突然の“終戦宣言”。ファーストサマーウイカさんは「簡単に表現すると『牙が抜けた』『憑(つ)きものが取れた』というか」と話す。
「急に糸が切れる瞬間ってありますよね。ものごとを頑張っていたときにプツンッてなって、『もう無理、や~めた』って瞬間。それに近い諦め、あるいは“引退”のような感覚。台本には描かれていない部分なので、想像でしかありませんが、そんなふうにうらみつらみがふっと消え去ったのかなって」