呼吸法で心を穏やかに、あるがままに【インドヨガ修行体験記】
■怒りと不安を軽減させる呼吸法 ~片鼻呼吸~
ナデショダナ・プラナヤマ サンスクリット語:ナディ=エネルギーの「チャンネル」「流れ」、ショダナ=「浄化」 副交感神経系と交感神経系の間に調和とバランスを整えます。通常はどちらか一方の鼻孔が他方の鼻孔よりも開いているため、常に脳の片側がより支配的になります。ナディショダナ・プラナヤマを実践することでバランスが取れ、脳の両半球が調和して働くことができます。定期的に実践すると、ストレス緩和やデトックス効果が期待できます。 ◎瞑想前だけでなく、思考の明晰さや集中力をもたらすため、頭をたくさん使う場合にもお勧め。 快適なアーサナで座ります。脊柱を直立させ、頭を真っすぐに伸ばし、両手をチン・ムドラまたはギャン・ムドラにして膝の上に置きます。 目を閉じて、短時間全身をリラックスさせます。 ※唇を軽く閉じ、歯を少し離したままにしておくと、音の振動が脳内でより明確に感じられるようになります。顎がリラックスしていることを確認してください。 腕を横に上げて肘を曲げ、人差し指または中指を使って耳を塞ぐ(指を入れずに耳たぶを押してもよい)。 意識を頭の中心、眉毛の中心に置き、身体を完全に静止させる。 鼻から息を吸い、ゆっくりと息を吐きながら、蜂の羽音に似た深く安定したハミング音を出す(これで1ラウンド)。 息を吐き終えたら、深く息を吸う。これを5ラウンド行う。 ※意識は頭の中でハミングする音、そして呼吸を安定させて均一にすることに向けられていなければなりません。 ◎指はヴィシュヌ・ムドラで行う 右手の指を使う。 親指は右の鼻孔の上に、薬指は左の鼻孔の上に置く。親指と薬指で片方ずつ鼻孔を交互に押して鼻孔内の息の流れを制御する。 ■自律神経を整える呼吸法 右の鼻孔を閉じる(午前と午後の練習時) 左の鼻孔を閉じる(夕方の時間帯に練習する場合) 1) 右の鼻孔を閉じ、左の鼻孔から息を吸って吐き出すことを 3 回繰り返す。 次に、左の鼻孔を閉じ、右の鼻孔から息を吸って吐き出すことを 3 回繰り返す。 手を下に置き、両方の鼻孔から息を吸って吐き出すことを 3 回繰り返す (合計 9 回の呼吸 – これが 1 ラウンド) 2) 左の鼻孔を閉じ、右の鼻孔から息を吸って吐き出すことを 3 回繰り返す。 右の鼻孔を閉じ、左の鼻孔から息を吸って吐き出すことを 3 回繰り返す。 手を下に置き、両方の鼻孔から息を吸い、吐き出すことを 3 回繰り返す。 3) 1 ラウンド繰り返す。 説明: 1 吸気と呼気 = 1 呼吸。つまり、1 ラウンドで 9 回呼吸する。 上記を12 ラウンド練習するのが良い。 ■夏に行う!シータリ・プラナヤマとシートカリ・プラナヤマ どちらも身体と心に冷却効果をもたらすために夏の間に練習するもので、汚れた大気中や寒い季節には実行しないこと。口で呼吸するこれらのプラナヤマは、冷たい空気や汚れた空気が直接肺に吸い込まれ、害を及ぼす可能性があります。両方のプラナヤマの最終目的は同じですが、基本的な違いは実践するプロセスにあります。 ●シータリ・プラナヤマ サンスクリット語:シータリ=「穏やかで、情熱がなく、心を落ち着かせるもの」。「冷たい」から由来。 舌を口の外にできるだけ伸ばし、舌の側面を巻き上げて筒状にして息を吸い込む呼吸法です。湿った空気または水分が飽和した空気を吸入することによって体温を下げる、身体を冷やすことが目的です。ストレスや困難な状況を回避するために副交感神経系を落ち着かせることに役立ちます。 ●シートカリ・プラナヤマ シータリ・プラナヤマとは異なり、歯の使用が目立つのがシートカリ・プラナヤマです。ニシキヘビの呼吸音によく似た、食いしばった歯によって発せられるシューシューという音にその名前が由来しています。血液を浄化し、身体がすっきりする呼吸法です。怒りや苦しみなどの否定的な感情をコントロールするのにも役立つと言われています。アーユルヴェーダでは「ピッタ=火のエネルギー)のバランスを整えることで、血液から毒素を取り除きます。 次ページ:呼吸法を実践し、心を穏やかに。実際のポーズ写真を見る 【参考文献】 上記の利点や注意点などは、クラスで使用したテキスト「Yogi360.com」から一部抜粋し、日本語訳したものになります。 松本実奈美(まつもと・みなみ) 元Yoga&Fitness編集部。退職後、ヨガ修行と一人旅を兼ねて約2カ月間インド生活を送る。WORLD PEACE YOGA SCHOOLの『200 Hour Yoga Teacher Training』講座修了
取材・撮影:松本実奈美