最高級リムジンのプレゼントつき、訪朝して金正恩を歓喜させたプーチン、「ユーラシアの枢軸」形成に大きな布石
しかしながら、この時期にあえて『労働新聞』で、北朝鮮の建設時期の様子を示したということは、プーチン大統領がユーラシア大陸において、「21世紀のソ連」を目指しているとも受け取れる。もっと言うなら、ロシア・中国・イラン・北朝鮮……という米欧に対抗する「ユーラシアの枢軸」作りだ。 ■ 両国は「〈同盟関係〉という新たなレベルに」 19日の午後には、金日成広場に平壌市民を動員しての盛大な歓迎式典を挙行した。彼らは猛暑の中、両国の旗を振りながら「歓迎、プーチン大統領!」と繰り返し叫ぶことを強要された。心なしか、映像で見る若者たちの笑顔が引きつっている。 広場には、金日成主席、金正日総書記、金正恩委員長とともに、プーチン大統領の写真も掲げられていた。これも極めて異例だ。 両首脳は、オープンカーでパレードしながら広場を去ると、首脳会談に移った。互いの側近たちを左右に侍らせての首脳会談を1時間半、通訳だけを置いた1対1のテタテ会談を2時間も行った。 金委員長「どんなに複雑な国際情勢の中でも、わが国はロシアとの戦略的対話を重視していく。そしてロシアのあらゆる政策を支持することを、改めてこの場で明言する」 プーチン大統領「金委員長の一貫したぶれないロシアの政策に対する支持を、高く評価する」 会談後、両首脳は、「包括的戦略的パートナーシップ条約」に署名した。条約の詳細は明かされていないが、互いにこう述べた。 プーチン大統領「今回締結した新条約は、どちらかの国が攻撃を受けた際に、もう一方の国が支援することを規定したものだ。われわれは西側諸国が政治や経済、その他の分野で、覇権を維持しようと用いてきた制裁に対抗し続けていく」 金委員長「朝ロ両国の関係は、『同盟関係』という新たなレベルに達した。それは両国の共同の利益に一致したものであり、徹底した平和的かつ防衛的な条約だ」 1961年に旧ソ連と北朝鮮は、「友好協力相互援助条約」を結んだが、ソ連崩壊後の1996年に条約期限が満了した。今回の「包括的戦略的パートナーシップ条約」も、この条約の延長線上にあるものと思われる。 その後、プーチン大統領が「アウルス」を運転し、金委員長が助手席に乗ったり、2人で庭園を散策するパフォーマンスを行った。そして両首脳揃ってのコンサート鑑賞。さすがにこの時、プーチン大統領は眠たそうだった。 さらに夕刻には、盛大な晩餐会が挙行された。金委員長は述べた。 「世界が羨む朝ロの親善関係の不滅を願って、両国の繁栄のために乾杯!」