台湾のメーカー、中国の侵攻想定したボードゲーム開発 戦時下の複雑な社会を疑似体験
(台北中央社)台湾のゲームメーカー、ミゾゲームス(迷走工作坊)が、中国軍の侵攻を受けた台湾を舞台に設定したボードゲーム「2045」を開発している。「台湾を守る戦士」や「親中派の協力者」などさまざまな役割が割り当てられたプレーヤーがおのおのの利益を目的にプレーすることで、個人と国家の利益が矛盾や葛藤をはらんでいることが浮き彫りになる。台湾社会の分断といった状況も現れ、戦時中に直面する複雑な人間性を疑似体験できるという。 ゲームは2045年のパラレルワールドが舞台。最終的に中国軍が上陸を果たそうと、台湾防衛が成功しようと、その結果がプレーヤーの勝ち負けになるわけではなく、個人の利益に基づく得点で勝者が決まる。 各プレーヤーが演じる役に中国軍は含まれず、プレーヤーは自身の利益のために、中国軍の台湾上陸を阻止するか誘導するかを選択する。同社の創設者、張少濂さんは台湾のさまざまな勢力がそれぞれの思惑を持っていることを反映させたと説明した。 張さんは、同ゲームは比較的ソフトな手段で、将来起こらないとは言い切れない衝突に向き合えると説明。日々報じられている中国軍用機が台湾周辺で活動したというニュースよりも、さまざまな層の人々に触れてもらえるのではと話した。 開発に当たっては専門家の指導を仰ぎ、中国軍が過去に行った演習の情報も取り入れた。ゲームはクラウドファンディングサイトで予約販売しており、来年1月に出荷が始まる予定。 (謝怡璇/編集:田中宏樹)