本仮屋ユイカさんがショートドラマで演じた“悪い女”。撮影エピソード、ラジオでの自分の変化、現在のルーティーンも
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11月から配信中のショートドラマ『悪い女』で本仮屋ユイカさんが主演を務める。吉川英梨さんの小説『悪い女 藤堂玲花、仮面の日々』(朝日文庫)が原作で、ショートドラマアプリ「BUMP」で配信。1話約1~3分で全20話の構成。本仮屋さん演じる主人公のセレブ妻・藤堂玲花に隠された事実が次々と明らかになるスリリングな展開が見どころのサスペンスだ。 【画像】もっと写真を見る(4枚)
常にクライマックスを撮る感覚
スマートフォンで見る縦型のショートドラマ市場は急速に拡大中で、世界市場規模は2029年に約566億ドル(約8兆7千億円)と、23年の約55億ドルの10倍超に達するとの予測もある(YHリサーチ社調べ)。今回ショートドラマ初主演を務めた本仮屋さんにとって、その撮影現場は初めての経験が多かった。 「カメラが縦に構えられていたのがまず新鮮でした。今までとまったく違う画角で撮影されているんだと。また物語の展開が早くて、常にクライマックスを撮っているような印象でした。テレビドラマや映画であれば、夕焼けとか学校からの帰り道のシーンがひとつ入るという流れでも、今回はそういうことがなくて。私は時間をかけて演技を良いものにしていくプロセスが好きなのですが、最初からテンションを頂点に上げていかなければならず、大きな挑戦でした」 慣れないショートドラマの撮影をやりきれたのは、御法川修監督の存在が大きかったという。2021年にテレビ東京系で放映されたサスペンスドラマ『私の夫は冷凍庫に眠っている』で御法川さんが監督、本仮屋さんが主演を務め、信頼を深めた。 「御法川監督は私の悪いところも弱いところも知った上で、何をしてもいいから全力でフルスイングしていいよ、という舞台を私に用意してくれる。だから監督の現場では自分の可能性が広がる感覚があって、自分を信じるきっかけをつくってくれます。今回も、前のテレビドラマとは違うアプローチをしながらも、縦型のショートドラマでできる最大値を一緒に叩きだそうという気持ちは共通認識としてありました」 今回演じた藤堂玲花は、高級住宅地で暮らすセレブ妻。華麗な衣装を身にまとう謎に包まれた女性だ。この役作りにも御法川監督のフォローがあったという。 「御法川監督には事前に本読みやリハーサルの機会をつくってくださって、藤堂玲花の世界観を作ってから撮影に入ってくれたのですごくありがたかったですね。参考映画を教えていただいたり、作品全体のトーンや企画意図も細かく教えていただいたりしてお芝居をできたのでイメージはしやすく、安心感を持って演じることができました。共演する魅力的な皆さんにも支えられてとても良い作品に仕上がったと思います」 ドラマでは冒頭、殺人事件の重要参考人として浮上した藤堂玲花がマスコミのカメラに向かって挑発的にこう告げる。「逮捕できる? 捕まえてみてよ」。その後、玲花はフリージャーナリスト寺田理保(金井美樹)からの取材を受け、二人の駆け引きを中心に物語が進む。藤堂玲花という主人公についてはこう語る。 「玲花はすごく恵まれた環境で育ち、豊かに何でも与えられてきた女性。私は人に嫌われないように生きていきたいタイプだけれど、玲花は炎上を厭わない。自分の世界でわがままに生きているという玲花という人間を理解するのが最初はやっぱり難しかったです」 「あるとき、共演する金井さんが『玲花はすごく愛情深い人ですよね』と言ってくれて。玲花の言動の背景に愛が横たわっていると感じてくれる人もいると気付きました。私としてはお芝居を通じて玲花の愛や正義、痛み、人生の目的を見つけ、演じていくということを大切にしました」 ドラマでは、ある映像をきっかけに玲花の過去が浮かび上がり、急展開する。ショートドラマという映像世界の中で藤堂玲花という主人公の本質を感じてほしいと本仮屋さんは言う。 「お話が進むごとに玲花の揺らがなかった本心が次第に暴かれていって、彼女が本当に大切にしていたものが見えてくる。そこにぜひ注目して最後まで見ていただきたいです。1話1話が短いので、ちょっとした休憩時間などに別世界を感じて楽しんでいただけたらうれしいですね」