増税眼鏡といわれたが「国民守るため、冷静で現実的に考えた」岸田氏単独インタビュー詳報
岸田文雄前首相は19日、産経新聞の単独インタビューに応じ、改定から2年を迎えた安保3文書の意義などを語った。詳報は次の通り。 ■戦後安保政策の大転換 ――国家安全保障戦略など安保3文書を閣議決定して12月で2年となった 「国際社会は平和や繁栄を維持していくと信じられた時代が続いてきたが、ここにきてパワーバランスが大きく変化してきた。ロシアによるウクライナ侵略も行われた。わが国周辺でも力による現状変更の試みや、核・ミサイル開発などが進められる中、国民の命や暮らしを守り抜くためには、わが国の安全保障を今一度考え直さなければならない。その思いで防衛力の抜本的強化を決断したが、戦後安全保障の大きな転換になったと思う」 ――岸田政権下では日米同盟の強化にも取り組んだ 「国民を守るためには自国の安全保障の充実も大事だが、1国だけでは難しいというのが厳しい現実だ。日米同盟はわが国の安全保障にとって大変重要であり、その充実のために外交安全保障上の努力を積み重ねた」 ■「多国間」から「2国間」へ ――来年1月に米国で第2次トランプ政権が発足する 「トランプ政権がどのようなことを言ってくるのか、今から想像するのは難しい。だが、議論や交渉の手法は変わるのではないか。これまでは米国との安全保障の議論では、国際的なネットワーク、同盟国、同志国とのつながりを重視してきたが、トランプ政権とは多国間の議論より日米や米中、米英など2国間での議論が中心になるだろう」 「ただ、日米同盟の重要性や防衛力の強化、反撃能力の保有などは米国からも高く評価されている。(トランプ氏には)その点をしっかりと理解してもらいながら2国間協議に臨んでいくということになるのではないか」 ――敵の領域内の標的を打撃する「反撃能力」保有も明記された 「変則軌道のミサイルや(相手の迎撃能力を超えた多数のミサイルを相次いで撃ち込む)飽和攻撃などが想定され、従来のミサイル防衛体制だけでは国民の命や暮らしを守ることはできない。ミサイル防衛体制は機能させながら反撃能力も必要だ」 ――防衛力強化に伴う増税方針では「増税眼鏡」との批判も浴びた