「布団干し」のためにベランダを作らなくていい2つの理由 一級建築家が語る、家づくりで一番大事なこと
---------- 人生でいちばん高価な買い物、マイホームをせっかく建てたのに、「こんなはずじゃなかった」と後悔する人があまりに多いのはなぜなのか? 気鋭の建築家・内山里江氏は言います。 「日本人が家づくりに失敗する最大の理由は、たとえば『家は南向きじゃなきゃダメ』とか『窓は大きいほうがいい』といった『間違った常識』によるものです。私は本書でそうした間違った常識をすべてひっくり返します」 内山氏の最新刊『家は南向きじゃなくていい』から、間違いだらけの家づくりをしないための方法を連載形式でお届けします。 前編記事<そのベランダ、日常的に掃除できる? マイホーム新築時「あって常識」と語られるベランダが不要な理由> ---------- マイホーム新築時「あって常識」と語られるベランダが不要な理由
「24時間換気システム」で布団干しも不要
布団についても同様です。室内の湿度は「24時間換気システム」でコントロールされていますので、朝起きて布団をペロンとめくっておけば、すぐに湿気は抜けます。どうしても干したければ、外ではなく室内の階段の手すりにでも掛けておけばよいでしょう。それに、蛇足ではありますが、羽毛布団は本来、調湿性を備えた素材であり、太陽の光にあてると布地が傷みやすいため、陰干しが推奨されています。つまり、外に干す必要がないのです。 布団や洗濯物を外に干さなければお天気を気にする必要もなくなり、家事負担やストレスも非常に少なくなります。しかも、外から家を見たときに洗濯物や布団がぎっしり並んでいる様子は、お世辞にも見栄えがよいとはいえません。 稀に、「子どもがおねしょしたときなど、外に干さざるをえないときもあるから」と、外に布団を干すための場所を強く望まれる人もいらっしゃいます。その場合は、一部の窓にステンレスのポールを取り付け、必要な際はそこに掛ける形で布団を干せるような仕様をおすすめしています。おねしょ布団のためだけにバルコニーやベランダをつくるのは、あまりにもったいないからです。
つくるなら「意味のある場所」に
バルコニーやベランダをつくることをおすすめするのは、布団や洗濯物を干す以外の「絶対につくるべき理由」があるときだけです。場所もお金もかけてつくるからには、意味のある空間にすべきです。たとえば、そこにジャグジー(ジェットバス。ジャグジーは商品名ですが、本書では便宜的にジャグジーと呼ばせてもらいます)をつけたり外用のソファセットを置いたりして「遊ぶ場所」「くつろぐ場所」にしたいという要望があるときなど。このような目的であれば、面積とお金をかけてつくる価値があります。 すべてのスペースに言えることですが、どうせつくるのなら、「なんとなく」ではなく、「意味のある場所」にしましょう。
内山 里江(一級建築士 株式会社コモドデザイン代表)