短命に終わった悲運のハッチバック|セダンよりも使えて、ワゴンよりもスタイリッシュ。5ドアハッチバックセダンのアピールポイント
【短命に終わった悲運のハッチバック】 5ドアハッチバックセダンの特徴は、セダンのリアセクションを独立したトランクではなく、ルーフ後端から傾斜したハッチバックとしている点。これにより、セダンのスポーティーさやフォーマルさと、ワゴンの実用性や利便性を併せ持つ……というのがアピールポイント。 【画像11枚】人々のライフスタイルを背景に生まれた5ドアハッチバックセダン。セダンのフォーマルさとワゴンの実用性のいいとこ取りを狙った つまり、セダンよりも使えて、ワゴンよりもスタイリッシュという一挙両得を狙ったわけだ。 先にも触れたように、5ドアハッチバックセダンが生まれた背景には、人々の生活やカーライフ、ニーズの多様化がある。これは間違いではないが、もうひとつの側面がある。これらのクルマたちが登場した頃、日本はバブル経済に向けて突き進んでおり、販売チャネルのマルチ化により、姉妹車の増加と差別化が図られたためだ。 HONDA CONCERTO 88年に発売されたコンチェルト。ボディサイズはシビックとアコードの間に位置する。4ドアセダンと5ドアハッチバックセダンが設定されているが、後者はイギリスのオースチン・ローバー・グループ(のちのローバー)と共同開発。92年に後継車種のドマーニ登場とともに姿を消した。 MITSUBISHI LANCER 88年に登場した3代目ランサー。ミラージュと兄弟車となり、オーソドックスな3ドアハッチ/4ドアセダンのミラージュに対して、ランサーはスポーティーな5ドアハッチバックスタイルを採用(当時の三菱は兄弟車でこの戦略を推進していた)。1.6Lターボ+4WDのGSRが話題を集めた。 NISSAN PRIMERA オースターの後を受けて90年に誕生したP10プリメーラ。欧州車、欧州市場を強く意識していただけあり、4ドアセダンのほかに5ドアハッチバックも用意。ただし、5ドアはイギリス生産の輸入車として91年から日本市場に投入された。この流れは2代目のP11でも受け継がれた。 初出:ハチマルヒーロー2017年1月号 vol.39 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部