小泉進次郎氏ら自民若手が会見(全文1)政治不信乗り越える国会改革が必要
よりオープンに、より政策本位で、政治不信を乗り越えるための国会改革を今こそ実行
よりオープンに、より政策本位で、政治不信を乗り越えるための国会改革、平成30年6月、2020年以降の経済社会構想会議有志一同。今、国民の政治不信が高まっている。1年以上にわたり国民と国会は森友・加計問題に振り回されてきた。もちろん個別の問題については、政府が主権者たる国民に納得できる説明責任を果たすべきであり、ここで論じるつもりはない。しかし一連の問題により、政治全体に対する国民の目線は厳しさを増している。政権はしっかりと説明責任を果たしているのか。国会はいつまで個別の問題を議論するのか。いつになったら結論が出るのか。その他の政策テーマの議論は十分に行われているのか。行政のガバナンスをどうやって建て直すのか。こうした国民の疑問を真摯に受け止め、しかるべき制度的な対応を行わない限り、近い将来に同様の事案が発生し、再び国政が停滞することになりかねない。今こそ国民の政治不信に正面から応える政治改革が必要だ。 特にポスト平成時代を迎えるに当たり、議院内閣制における内閣総理大臣による政治的リーダーシップに基づく政治、すなわち総理主導の確立と同時に行うべきだった国会改革を、今こそ実行する必要がある。言うまでもなく、平成の政治改革は官僚主導の政策決定を総理主導へと転換することを目指してきた。55年体制の自民党一党支配の下では、さまざまな分野で政財官の鉄のトライアングルが形成され、強力な既得権益が必要な改革を阻んでいた。 これに対し平成の政治改革は、総選挙で国民の信任を得た総理が強いリーダーシップを発揮し、族議員や業界団体の反対を乗り越えて、全体最適のために大胆な改革を進めることができる仕組みの実現を目指してきた。平成の30年間に小選挙区制の導入、省庁再編と官邸機能の強化。内閣人事局による官僚幹部人事の一元化など、累次に渡り制度改革が進められた。こうした政治改革の効果をフル活用し、小泉政権と安倍政権は総理主導への転換に成功した。 ポスト平成時代において、わが国を取り巻く内外の環境は厳しさを増している。外交では戦後の国際システムの大転換が始まり、新たな世界秩序を模索する不透明な時代に突入した。戦後70年以上にわたりアメリカをリーダーとする西側諸国が、民主主義、人権、自由貿易を基調とする国際システムを支えてきたが、移民流入や格差拡大を背景に欧米諸国の国内政治の内向き化が進んだ結果、欧米諸国の世界秩序を支える意思と力が相対的に弱まりつつある。特にTPPからの離脱、鉄鋼や自動車への関税導入、パリ合意からの離脱を進めるトランプ政権の登場は、戦後の世界秩序がその中枢から動揺していることを明確に示している。 一方、中国は好調な経済を相まって超大国としての存在感を高めており、AIIBなど、欧米主導ではない独自の世界秩序の形成を進めている。今後、人工知能、ロボット等の第4次産業革命やグローバル化がさらに進む中で新しい世界秩序の主導権争いはさらに激化することが想定される。こうした中で、わが国としては、地域の平和と国民の安心を確保するため、これまで以上に戦略的かつ機動的な外交戦略を進めていく必要がある。 内政面でも課題は山積している。特に急激な人口減少と高齢化の中で、経済社会や財政の持続可能性の確保に向けた取り組みは待ったなしであり、人生100年時代を前提とした雇用制度や社会保障制度を構築するなど、戦後の経済社会モデルを大胆に見直す必要がある。 このよう内外の環境変化を踏まえれば、ポスト平成時代においても選挙で国民の信任を得た総理が強いリーダーシップを発揮し、大胆な改革を進める体制を維持することは、極めて重要である。今回の一連の問題によって、総理主導によって生じた問題への懸念が生まれているとしても、総理主導自体が悪いとして見直すのではなく、総理主導の長所を生かしながら問題点を修正することでバージョンアップを進めていくことが必要である。そのためには平成の残された改革である国会改革が不可欠である。総理主導が確立された時代であるからこそ、国会は厳しく行政を監視し、内閣の説明責任を確保するとともに、生産性向上を図り、限られた時間の中でしっかりと結論を出す場になる必要がある。よりオープンに、より政策本位で、という観点から国会の役割を強化することで、国民の政治への信頼を取り戻すべきだ。 【連載】小泉進次郎ら自民若手議員が会見 全文2へ続く