なぜ福士は銅メダルを獲得できたか
「マラソンをやるようになって以来福士は、いろんな人たちにの門を叩いて教えを乞うていたんです。それをなかなか自分の中で整理しきれなかったが、5回目のマラソンを前にしてやっと、いるものといらないものの整理がつくようになったと思います」と永山監督は言う。 野口と2ヶ月間も合宿を一緒にしたことも勉強になった。練習は別でも一緒に生活していく中で野口と話したひと言ひと言が、マラソンに対する甘さを取り除き、福士を成長させてくれたと永山監督は付け加えるのだ。 日本陸連の武富豊女子マラソン部長は「福士の力は本当はもっともっとあると思っていたから…。野口さんと一緒に練習をすることでいろんな刺激をもらって練習をするこつなどをつかんだと思うし、銅メダルもその結果だと思いますね」と今後を期待する。 「マラソンはもう十分ですよ。もう走りたくない。3位に上がってからゴールまでさ えも、本当に長いと思ったから、もう走りたくないですよ」 と言って記者を笑わせた福士。展開に恵まれた銅メダル獲得ではあったが、彼女の心の中にまたひとつ違う何かを芽生えさせるきっかけにはなったはずだ。 (文責・折山淑美/スポーツライター)