エミー賞「将軍」に聖地・太秦のノウハウ…監修の映画監督・原田徹さん「ようやく世界が認めてくれた」
かつて太秦は、日本のハリウッドと称された。資金調達の問題で本格的な時代劇の撮影は難しくなっている中、鍵を握るのは海外での評価だ。「世界的な認知度が上がれば、映像作品はすぐ国境を越える。SHOGUNは時代劇に大きなチャンスを拓(ひら)いてくれた」
長らく低迷、復活の兆しも
時代劇は長らく低迷してきた。東映では、1960年代に太秦の撮影所で年間100本近くの映画を制作してきたが、ファン層の高齢化もあり、近年は10本以下に減少している。
復活の兆しもある。8月に「侍タイムスリッパー」が単館で封切られた後、全国300館以上で拡大公開されるヒットを記録。東映京都撮影所が協力した。
来年1月、太秦でも撮影された東映の「室町無頼」、松竹の「雪の花―ともに在りて―」が封切られる。東映京都スタジオの高橋剣取締役は「日本語で演じるコンテンツが評価され、制作陣を勇気づけた」と語る。
戦後、ベネチア国際映画祭金獅子賞を獲得した「羅生門」(1950年)など海外の評価が国内のブームにつながった。山口記弘・立命館大映像学部教授は「SHOGUNの成功は当時と重なる。時代劇は日本の総合芸術とも言え、現代では、動画配信を中心に世界規模で展開していくだろう」と指摘する。
◆「SHOGUN 将軍」=英出身の作家ジェームズ・クラベルの同名小説が原作。戦国時代を舞台に、主人公は徳川家康をモデルにしている。真田広之さんが演じる武将・吉井虎永が、英国人航海士の按針(あんじん)らを家臣に取り立て、覇権を争う。動画配信サービス「ディズニープラス」の「スター」で独占配信中。京都ヒストリカ国際映画祭では、第1、2話が12月8日に京都文化博物館(京都市中京区)で無料上映される。