シンガポールのGIC、日本企業との対話強化-投資チーム拡大へ
(ブルームバーグ): シンガポール政府投資公社(GIC)は、日本企業が経営改革に対し前向きになってきている中、投資先の日本企業とより深くエンゲージメント(建設的対話)を行い、企業財務や事業の成長戦略の手助けに関与していく意向だ。
GICでグループ副最高投資責任者(DGCIO)を務めるブライアン・ヤオ氏は28日、ブルームバーグのインタビューで、「積極的にエンゲージメントを行い、企業成長につながる解決策や成果、戦略を模索する」と語った。
同時にヤオ氏は、日本に関する案件を担当している現在40人のチームを拡大する方針も表明。日本での投資機会は企業統治(コーポレートガバナンス)改革や金利上昇を背景に魅力的だとし、投資機会の拡大に期待感を示す。
投資先として日本に好意的だとGICは公言してきたにもかかわらず、ポートフォリオ全体に占める日本の割合は、2019年3月末時点の12%から昨年は6%へ低下していた経緯がある。
アクティビストとは違う
日経平均株価が今年3月に過去最高値を更新し、世界の投資家から日本への注目が高まるにつれ、企業に事業の売却や株主還元などを求める物言う株主(アクティビスト)の動きも活発になっている。対象も経営改革や株価の押し上げを迫るものにとどまらず、不動産含み益の顕在化を求めるなど広がりを見せる。
物言う株主が都心高層ビルの「含み益」実現要求-地価上昇で広がりも
ヤオ氏は、GICのエンゲージメントはアクティビストとは違うとした上で、「過去1-2年間は企業価値の向上を巡って一層建設的な対話ができ、結果として株価上昇につながった」と説明。今後日本では、十分に活用されていない不動産や非中核事業の売却に関する議論もあり得るとの認識を示した。
不動産を含め日本企業のファンダメンタルズやバリュエーション(評価尺度)は非常にポジティブであり、「現在抱えている案件のパイプラインは、3年前や5年前に比べ格段に大きくなっている」と言う。