シンガポールのGIC、日本企業との対話強化-投資チーム拡大へ
アニメ、不動産にチャンス
ヤオ氏は、日本のアニメやゲームといった知的財産(IP)に関連する上場株式も魅力的で、「日本のIPには多くの成長やリターンの可能性が眠っている」とも話した。サウジアラビアの政府系ファンド(SWF)であるパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)は、家庭用ゲーム機・ソフトメーカーの任天堂株に投資している。
世界最大のSWFの一つであるGICは運用資産を明らかにしていないものの、調査会社のグローバルSWFによる推定では約7690億ドル(約121兆円)となっている。
GICによる日本での投資対象の多くは宿泊施設やリゾート、物流施設など不動産だ。22年には西武ホールディングスから苗場スキー場などを含む26施設を1237億円で取得した。また、ソニーグループや富士通の株式にも投資し、23年3月には米投資ファンドのベインキャピタルと共同で人事給与システムのワークスヒューマンインテリジェンスを買収すると発表した。
インタビューに同席したGICジャパンの代表取締役を務める杉本健氏は、日本の不動産にも投資機会を見いだしている。物価や賃金、金利が上昇する中、日本の不動産市場は「過去に例を見ない領域」に入ってきており、ファンダメンタルズや流動性なども評価できると指摘した。
GICは昨年7月、厳しい市場環境や地政学リスクなどの影響から5年間のリターンが16年以来の低水準となった。ただ、シンガポール当局から資金注入を受け続けており、他の投資家が手を引く局面でも積極的な投資を行うことが可能な資金力を持つ。2月には最高執行責任者(COO)を交代させ、ヤオ氏をDGCIOに起用するなど運用幹部のてこ入れを図った。
シンガポール政府系ファンドGIC、5年リターンが16年以来最悪に
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田村康剛、David Ramli、Lisa Du