バイデン米政権、広範囲の中国製品の関税引き上げ-EVや半導体など
(ブルームバーグ): バイデン米大統領は半導体チップやバッテリー、太陽電池、重要鉱物を含む広範囲にわたる中国製品について、輸入関税率を引き上げる。11月の米大統領選での再選を目指し、重要産業で国内製造業の強化を図る。
米国は先に引き上げの方針が伝えられた一部の鉄鋼やアルミニウム、電気自動車(EV)に加え、港湾クレーンや医療用品の関税率も引き上げる。ホワイトハウスは、現時点で年間180億ドル(約2兆8200億円)相当の輸入品に影響が見込まれるとしている。
今回の動きは、最初にトランプ前大統領が課した対中関税の最も包括的なアップデートであり、対中貿易へのタカ派的アプローチが引き続き米有権者の間で人気があることを認めるものだ。トランプ前政権が課した対中関税の引き下げはない。
バイデン大統領は、米国として新型コロナウイルス禍で輸入に困難を抱え、政権が発足してからは増強を図ってきた半導体チップや環境に優しいエネルギーなど主要産業に絡んだ製品の関税率を引き上げる方針だ。
ただ、バイデン政権は注意深くバランスを取る必要がある。関税引き上げは既に高インフレの打撃を受けた米消費者にさらなる物価上昇をもたらすリスクがあるほか、中国側が反発して報復措置を講じる恐れもある。
新たな関税措置は2024年から26年にかけて時期をずらして発効が予定され、トランプ氏がホワイトハウス返り咲きの場合に打ち出すとしている一律60%の対中関税に比べて的を絞ったものとなる。EVの輸入関税率が4倍と最も大幅な引き上げとなり、この他の輸入品は2倍となったり、初めて賦課の対象となったりする。
バイデン大統領は14日、ホワイトハウスのローズガーデンで行われるイベントで対中関税措置を正式に発表し、詳細は声明で示される。
複数の政権当局者は正式発表を前に匿名を条件に計画について説明。超党派の支持で成立したインフラ投資法や国内半導体業界支援法(CHIPS法)を受けた国内投資と、新たな関税措置とを組み合わせることで、中国との間で公平な競争条件を整備するとしている。