なぜ、イケアは激安“50円”ソフトクリームを提供するのか?
イケアは店舗内にあるレストランやビストロで、気軽に楽しめる軽食を激安価格で提供している。同社公式サイトによれば、ホットドッグとシナモンロールはわずか100円、ドリンクも100円程度で楽しめ、ソフトクリームに至っては“50円”という驚くべき安さだ。 【画像】なぜこんなに安いのか? イケアのソフトクリーム(50円)、ホットドッグ(100円)のほか、北欧を感じさせるレストランメニュー 激安メニュー提供の裏には、実に綿密に練られたマーケティング戦略があることがうかがえる。 こうしたイケアの戦略を、「企業が顧客から収益を得るための5つのポイント」から詳しく分析してみたい。
1. 節目需要の獲得
節目需要とは、新生活の開始や引っ越しなど、顧客のライフイベントを捉えて接点を持つことを指す。 イケアは50円のソフトクリームのような手軽な商品の提供で、こうした節目で家族連れや若者などが来店しやすい仕組みを作っている。それが、結果として新規顧客の獲得や潜在的な購買意欲の喚起につながっている。
2. 関連商品の販売促進
激安フードメニューの提供は、顧客の店舗での滞在時間を伸ばし、店内での購買機会を増やす効果がある。 フードコーナーで一息つくことで、顧客が再度店舗内を回り、追加の家具や雑貨に目がとどまる可能性を高めているのだ。 また、イケアは北欧発の家具ブランドであるため、北欧のメニューも提供することで、顧客が北欧文化やライフスタイルに触れる機会を作っている。これにより、顧客が北欧デザインの家具やインテリアに関心を持ち、関連商品を購入しやすくなっている。
3. 買い替えと買い増しの促進
イケアは手頃な価格でデザイン性の高い商品を提供しており、初回購入後の顧客満足度が高い。 フードメニューの良好な体験も相まって、顧客は商品の買い替えや買い増しを検討しやすくなっている。さらに、新商品の情報をレストランに掲示することで、顧客が最新の家具や雑貨に関心を持つ可能性を高め、買い替えや買い増しを促している。
4. メンバーシッププログラムによる囲い込み
イケアはメンバーシッププログラム「IKEA Family」を通じ、顧客との長期的な関係構築を図るとともに、特別価格で提供することで来店を促している。 フードメニューの満足度が高い顧客は、店舗を「食事も楽しめる場所」として認識し、定期的に来店するようになるため、継続的な売り上げが期待できる。