「ママが2人いることは息子もわかっている」…元宝塚トップ・瀬奈じゅん、特別養子縁組で迎えた我が子への“真実告知”
■息子に伝える「真実告知」
――お子さんを育てていて、産みのお母さんのお話をされることもありますか。 もう日常的にしますね。最初は自分たちの練習として、言葉もわからないであろう3か月ぐらいの男の子に向かって、お風呂場で湯船につかりながら「ママのお腹はね。ちょっと壊れちゃってあなたを産むことができなかったから、もう一人のお母さんがあなたを産んでくれたんだよ」という話をずっと続けてたんです。 ある日、「僕、ママの中から生まれたかったな」と言った時があって。「じゃあ生まれてみようか」と私の洋服の中に入れて「生まれたー。元気な男の子だね」とか言って。そういうのを繰り返して、日常的に「もう一人のお母さんもきっとこの海見てるね」とか「きっとどこかでつながってるね」とか「この道を行ったら産んでくれたお母さんの道につながるかもね」とか。本当に些細なことですけれど、そういう会話はよくしています。 本人もママが二人いるってことはわかっています。ただ、本当の意味で理解するのはまだだと思うんですけど、本当の意味で理解した時に、ちゃんと寄り添っていたいなと思います。 ――父親目線からの真実告知についても伺っています。 <千田真司さん> 出自の事実は曲げたり隠したりしたくないなと思っています。順を追って説明することでいいと思うんですけど、産んでくれたお母さんがいるということは事実だし、それ隠す必要もないのかなと。 明確な姿・形を想像できないけど、(産んでくれたお母さんの)名前があるだけでも違うのかなとも思うし。息子を見ていてかわいいなと思えば思うほど、同じ血を引く産んでくれたお母さんも「目が似てるのかな、鼻が似てるのかな」と想像する部分もあって、今どうされているか全くわからないんですけど、幸せでいてくださったらうれしいなという思いがあります。 そこを隠す必要もないしむしろ伝えてあげたいなと思ったので、まだ何を言っても理解できないような年齢ですけど生後半年ぐらいの頃に、お風呂場で本人にそれを伝えてみたんですね。そうしたら何も分かっていないはずの子に伝えることでさえも、こっちがちょっとドキドキしたんです。その瞬間に「ああこれは親側が練習をしなきゃいけないんだな」と感じました。 3歳、4歳ぐらいの頃に僕と息子で車に乗っていた時に、急に「〇〇ママ(産んでくれた母親の名前)から生まれたんだよね。ママから生まれたかったな」とかって言うんですよ。何の脈絡もなく本人から突然その話をするんだと思って。そこはもうそうだよねと同調して話をしましたけど、初めての出来事だったので成長を感じるのと同時に寂しい思いもあるんだなと思います。そういう気持ちにも寄り添っていきたいなと。 今はいろんなことに興味があってそれどころじゃないという感じで、多分あまり考えてはいないと思うんです。きっと成長するに連れてまた別の角度からの質問とかもあるんだろうなと思うので、それにちゃんと話に向き合ってあげられるように。思春期になって深く考えた時に、もしかしたら「会いたい」とか「一目見たい」と言う時も来るかもしれない。それはできる限りかなえてあげたいなとは思っています。 <<<<<