「ママが2人いることは息子もわかっている」…元宝塚トップ・瀬奈じゅん、特別養子縁組で迎えた我が子への“真実告知”
■泣きながらミルクをあげた
――その後、2017年に息子さんをお迎えになられます。 息子は生後5日で、私と私の母と主人と3人で迎えに行ったんです。行く前に「ミルクを飲むのが下手でちょっとコツがいる。レクチャーするので30分ぐらい時間をください」と言われていたんですよ。でもなんとなく私からは飲むんじゃないかなという謎の自信があった。何気なくパッと飲ませたら何のコツもなくゴクゴク飲んで。 それを見て、看護師さんたちも先生たちもみんな泣いて「待ってたんだね」と。母も主人も私も泣きながらミルクをあげたことが印象的でした。 ――その時のことを千田さんにも伺っています。 <千田真司さん> (最初に見学に行った)団体の方が、特別養子縁組は子どものための制度であって子どもを授かりたいと願っている親のためにある制度じゃないんだよと念入りにおっしゃっていて。自分たちが子どもを授かりたいという気持ちがエゴなんじゃないかと、とても胸に引っかかった部分でした。 その後に出会った他の団体で私達を担当してくださった方が、子どもを育てたいという気持ちがなければ成立しない制度なので、それはもちろん持っていていいんですよと。それで腑に落ちたというか自信を持てたような気持ちに変化しました。 (実際にお子さんを迎えるときは?)あ、この子なんだって。今まで不妊治療から始まって葛藤を乗り越えて特別養子縁組をすると決めた時間が、この子と会うためにあったんだなと感じました。形としては私たちが授かって息子が家庭的な養護が受けられるということで、息子を助ける制度というのはそうなんですけれども、息子に初めて会った時に助けられたのは自分たちの方だなと感じました。 もしかしたら制度を曲解されてしまうかもしれないし最初1年間ぐらいは自分たちが救われたということを言っちゃいけないかなと思っていて。特別養子縁組という制度の趣旨を理解した上で、でもやはり家族なのでお互いが支え合ってどちらも助けあっている関係性だなと感じます。僕らはこの子に救われたし、その分この子に愛情を注ぎたいなと思うので。 特別養子縁組は命を授かるし、団体の方たちも命を受け渡すので、ハードルを低くすることはできないと思うんですけど、迎える側の親の気持ちとして、出産するのも特別養子縁組で授かるのも家族になるということにそんなに違いはないんじゃないかと思っています。そういう部分を伝えたいなと感じています。 <<<<