和洋折衷、食卓で活躍する器は?平野由希子さんの器ライフ
盛り付けのセンスが光る食のプロに、器使いの極意や御用達の器ショップを教えてもらう連載「あのひとの器ライフ」。第2回目は料理家の平野由希子さん。日常に役立てたい食器の組み合わせ術をチェック。『エル・グルメ』No.28号掲載。
‟和洋の垣根なく料理と器を楽しむ”
料理の味わいと器や道具は切っても切り離せないもの。今や多くの料理好きが共有する “常識” を、プロの視点からいち早く、スタイリッシュに提案してきた平野由希子さん(写真)。料理好きのバイブル的ロングセラー「ル・クルーゼ」のレシピ本で知られるとおり、料理のプロとしての軸足はフランスにあり。もっとも多く所有する器も、フランスのアンティークだという。 「とはいえ、もちろん和食を作ることだって多い。だから “和洋を問わず使えるもの” というのは器選びの大事な基準です」 その好例として教えてくれたのが長峰菜穂子さんの器だ。 「形はフランスの伝統的な器をモチーフにしているけれど、土は日本に根ざす。私の料理にとてもしっくりなじむんです。フランスのアンティークと合わせてコーディネートもしやすいところも、気に入っています」 加えて、平野さんが提案するのが、漆の日常使いだ。 「漆というと、大事にしまい込みがちだけれど、使ってこその器。富井貴志さんのリムプレートは、例えば馬肉のタルタルのような肉料理を盛り付けても違和感なく、美しく映える。多少の傷も “味” と思えば、使い込むほどに愛着が湧くはずです」 頼れる白い器も「形状、厚み、ツヤや質感などのディテールが、和にも洋にもなじむか否かを左右する。ときに柄物で変化を付けることも。染付の小皿を合わせて和に寄せたりと楽しめます」 収納も手入れも、細かなルールで縛り過ぎないのが平野流。 「和食器でも食洗器にかけられるものもあります。収納もセオリーはあるけれど、欲しいものを迎え入れて、後から考えることが多いかな」とおおらか。コーディネートを参考に、しまい込んでいた器を使いたくなる。