学習用端末で収集される小中学生らの個人情報、460教委が「利用目的明示せず」…管理不徹底が明らかに
学習用端末で収集される小中学生らの個人情報保護を巡り文部科学省が実施した初の実態調査で、全国202の教育委員会が、集めた情報の「利用目的の特定」をしていなかったことが24日、わかった。目的を児童生徒や保護者に「明示」していなかったのは460教委に上った。
文科省調査、「特定せず」が1割
特定、明示とも、昨年4月施行の改正個人情報保護法で自治体に義務付けられており、法令違反にあたる。目的を定めて利用範囲を決めておかないと、個人情報が際限なく使われる恐れがあるためだ。教育現場のデジタル化が進む一方、情報の管理が徹底されていない実態が裏付けられた。
小中学生に1人1台配備された端末には学習用アプリがインストールされ、児童生徒の氏名やテスト結果などのデータが収集されている。文科省はデータ利活用の留意事項で、特定する利用目的を「学習履歴から個人、クラス・学年の学習状況や習熟度を把握し、最適な学習指導を行うため」などと例示。明示する相手を児童生徒や保護者としている。
しかし、読売新聞の取材により、利用目的の特定や明示をしていない自治体の存在が明らかになっていた。
文科省の実態調査は7~8月、全ての都道府県と政令市、市区町村の計1815教委を対象に行われ、1782教委が回答した。利用目的の「特定」をしていなかったのは全体の11%で、「明示」をしていなかったのは26%を占めた。
調査ではまた、学習用アプリを提供する民間事業者が児童生徒の個人情報を直接取得・管理しているかどうかも聞いた。読売新聞の取材では、リクルート(東京)が個人情報を直接取得し、一部のデータを一般向けアプリの機能改善に使用していた。
調査で、事業者に児童生徒の個人情報を直接取得・管理させ、教委側が提供を受けていると答えたのは21教委(1%)あった。「検討したことがない、分からない」との回答は408教委(23%)あり、実際には事業者が直接取得・管理しているケースはさらに多い可能性がある。