「滑走路での事故を防げ」離着陸が「1分半に1回」の“過密空港”福岡 対策は?
羽田空港で1月2日に航空機同士が衝突した事故を受け、福岡空港でも管制システムが見直されます。福岡空港では1月に入り、着陸機の誤進入が相次ぎました。2本目の滑走路の完成を前に事故を未然に防ぐための仕組み作りが検討されています。 【写真で見る】2025年3月の供用開始に向け新たな滑走路の工事が進む
羽田・成田に次ぎ全国3番目の発着数
アジアの玄関口、福岡空港。滑走路脇の誘導路には、離陸を待つ航空機が並びます。離陸した機体の後ろの上空に目を向けると、次に着陸する機体が見えています。 福岡空港の年間の発着回数は約14万回で羽田空港、成田空港に次いで全国で3番目に多くなっています。さらに滑走路の数でみると、羽田空港が4本、成田空港が2本なのに対し、福岡空港は1本のみ。1時間に38回(1分半に1回)離着陸が行われる“過密空港”なのです。
着陸機が指示と違う場所に誤進入2回
1月2日に羽田空港で起きた、着陸機と離陸機の衝突事故。福岡でも2011年と2012年に、滑走路上で着陸機と離着陸機が衝突しそうになったことがありました。いずれも管制官の指示ミスによるものでしたが、衝突は回避されています。また、1月に入ってから福岡空港では着陸機が管制官の指示とは違う場所に誤って進入するトラブルが2件続きました。 斉藤鉄夫国土交通大臣「このような事案が連続して発生したことを重く受け止めております」「国土交通省におきましても誤進入箇所について、進入禁止の標識を増設してまいりたい」
モニター監視職員を増員
管制塔パイロットに指示を出すのは、管制塔の中にいる航空管制官です。福岡空港は4人の管制官によって管理されていて、そのうちの1人が離着陸の許可を出しています。 中部国際空港の元航空管制官・田中秀和さん「パイロットと管制官のコミュニケーションは主に、今もバーバルコミュニケーションと言って、言葉でのやりとり、無線交信によって行われています。『無線交信の方が、即時性がある』というメリットもあるので、今のテクノロジーでは残念ながら『無線交信のメリットの方がデメリットを上回っていると言わざるを得ない』というのはあると思います」 離陸機が滑走路に入ると赤く光って知らせるモニターが、管制塔には設置されていますが、羽田空港の事故では見落とされていた可能性が指摘されています。このため、福岡空港でもモニターを見るための人員を増やすことになりました。