「世渡り上手な人」が結局大きな結果を出せない納得理由 「干された時」こそ相手の懐に入るチャンス
同調圧力が強い日本では、ビジネスでも空気を読む力が求められます。特に実績のない若い人であればなおさら。権威主義的な世界で実績を残すにはどう振る舞えばいいのでしょうか。 テレビドラマにもなった『泣くな研修医』の原作者で外科医の中山祐次郎さんは、「正面突破」の重要性を説きます。新米外科医時代の失敗から得た教訓を本音で書き記した中山さんの新刊『医者の父が息子に綴る 人生の扉をひらく鍵』より、仕事から干された経験とそこで得られた人間関係のコツを一部引用・再編集してお届けします。
■過酷な職場で得られたもの 僕は「研修医」の2年間を、今でもよく思い出す。 その理由は、本当につらかったからだ。もっと手を抜いてもいいような気がしたし、もっと頑張れたような気もする。まあ、よく精神的に病まなかったなと自分を褒めている。 研修医時代。僕の失敗は、「正面突破しきれなかった」ことだと思う。 つらいなら、つらい理由はなんなのか。わからないなら、なぜ「わかりません」と言えなかったのか。 なんとなく小狡く、なるべく怒られないように過ごした。
それを見抜いた厳しい医師たちから、僕はとことん嫌われたのだ。目立ちたがり屋で、いいところばかり欲しがり、それでいて泥臭い努力をなるべく減らそうとする。僕はきっとそんな人間に見えたことだろう。 一番話しづらい人に話しかけ、一番やりづらいことをやる。これを意図的にちょっとずつ避けていた。つまりいろいろな問題を正面突破せず、なるべくコストがかからないよう自分が傷つかないよう側面から突破しようとしていたのだ。
麻酔科の女性医師、S先生に相談できたのも、恐ろしいおじさん外科医たちに体当たりしなかった結果だったかもしれない。S先生ならばきっと褒めて背中を押してくれるに違いない、そういう卑しい魂胆が僕にはあったのだ。やっぱり狡い。 ■人の懐に入るための3つの心得 きっと、S先生にはバレていたに違いない。外科医上司ではなく自分に相談したり頼ったりしてくるのは、きっと本質から逃げているからだろう、と。その上で、生意気な若手外科医の相手をしてくれていたのだ。感謝してもしたりない。