能登地震の液状化被害 震度5弱の地域でも拡大 砂丘多い日本海側、宅地被害は1万5千件
市の担当者は「工事までにはいくつものステップがある。一つ一つ解決していくしかない」と話していた。
■液状化対策、住民の熱意も必要 安田進・東京電機大名誉教授
能登半島地震の揺れで液状化し、地盤が横にずれる「側方流動」が発生した石川県内灘町では、明治24(1891)年の濃尾地震でも液状化している。1度起きたところでは再び発生しやすい。砂丘が広がる日本海側では今後も液状化被害が発生する危険性は高い。
側方流動は平成7年の阪神大震災で神戸市の埋立地、人工島でも発生している。液状化で岸壁や護岸が大きく動き、それに向かって100メートルほどの範囲の地盤が流れ出した。被害を防ぐために設計方法は見直されたが、対策がとられていない施設は全国的に残っており、埋立地では被害が起こりうる状態だ。
地震動の時間が長かった東日本大震災では、液状化した状態でさらに揺すられ、水道管の継手が破損するなど被害が拡大した。同じ海溝型地震となる南海トラフ地震でも注意が必要だ。
住宅地の液状化対策を支援するため、国は宅地液状化防止事業などを用意しているが、自治体が住民の同意を得ながら進める必要がある。行政、住民側双方が熱意をもって取り組まなければ対策は実現できない。