<箱根駅伝予選会>名門・中大復活の裏にあった苦悩と努力のドラマ
とはいえ、これくらいのことで沈みかけていた巨船がすぐに動き出すことはなかった。 前回の予選会は、主力4人をフリーで行かせるも、思うようにタイムを稼ぐことができず、残り8人は61分台でまとめようと集団で行かせたが、中間点を前に集団走が崩壊。超名門校は奈落の底に突き落とされた。それでも藤原監督が1年目にまいた種が芽を出し始めていた。 「エントリーできなかった選手も含めて、今年の予選会にかける思いは強かったと思います。非常に苦しい1年でしたから」と藤原監督。日々のトレーニングは昨年とほとんど変わらないというが、「戦う気持ちを全員が持てるようになった。そこが大きいですね」と2年目の“進化”を説明する。 長距離は日々の生活がパフォーマンスに大きく影響するため、藤原監督は1年目から生活面については厳しく指導してきた。今季からは選手たちが自主的に朝食をみんなで集まってとるようになり、それがチームの意思統一につながったという。春のトラックシーズンは思うような結果が出なかったものの、6月の全日本大学駅伝予選会で自信をつけた。 「総合12位で落選しましたが、通過ラインまで68秒だったんです。がんばれば手が届くということが明確に見えたことが大きかった。あのあたりからチームの雰囲気がグッと良くなってきましたね」 夏合宿で手応えのあるトレーニングを積むと、9月の日本インカレでは1500mで舟津が優勝。チームの雰囲気はさらに盛り上がった。 そして箱根駅伝予選会。各学年の選手たちが自分たちの役割を果たした。4年生は竹内大地が61分切りの集団を、江連崇裕と蛭田雄大が62分切りの集団をペースメイク。最上級生が15kmまでしっかりとナビしたことで、下級生たちのポテンシャルを引き出した。 3年生の中山顕は、「舟津がチームを引っ張ってくれていたので、自分は走りで応えないといけない。チームのトップを走り、みんなを安心させたいなと思っていました」と59分36秒の好タイムで個人総合8位(日本人2番)に入る快走を見せた。ルーキー畝拓夢も出走した1年生のなかで最上位となる個人総合33位(60分22秒)に食い込んだ。