木村拓哉を刑務所に入れ、脱獄させる戦略は成功したのか…ドラマ『Believe』に見る 、“本気のテレビ朝日”の狙いと誤算
今年ナンバーワンのキャスティング
テレビ朝日にとっては「開局65周年記念作品」だけに力の入れようは歴代最高クラスと言っていいのではないか。 【一覧】テレビ局「本当は使いたくないタレント」…ワースト1位は意外な大御所…! 木曜ドラマ『Believe -君にかける橋-』は主演・木村拓哉に加え、同ドラマ枠で『BG~身辺警護人~』『緊急取調室』などを手がけてきた脚本家・井上由美子、演出家・常廣丈太を起用。さらに井上は『BG』に加えて『GOOD LUCK!! 』(TBS系)や『エンジン』(フジテレビ系)も手がけるなど木村の持ち味を知り尽くしているほか、常廣も昨夏放送の『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日系)で不穏かつ叙情的な映像美が絶賛されるなど、主演・脚本家・監督の強力なトライアングルが形成された。 加えて、助演に天海祐希、上川隆也、竹内涼真、斎藤工、小日向文世、北大路欣也と主演級俳優をキャスティング。これは主演・堺雅人の脇を阿部寛、二階堂ふみ、松坂桃李、二宮和也、役所広司で固めた『VIVANT』(TBS系)と同レベルの豪華さであり、業界内では早くも「今年ナンバーワンのキャスティングではないか」という声すらあがっている。 もう1つ、昨年最大のヒット作となった『VIVANT』を彷彿させたのは番宣戦略。ギリギリまで事前情報を極力避けて期待感をあおる手法で話題性を高めた。さらにドラマがスタートしてからも、「主人公の周辺に敵か味方か分からない人物を次々に登場させる」という脚本・演出も『VIVANT』との共通点。また、脱獄劇という労力の伴うロケの多い物語を選んだところも似ていると言っていいかもしれない。 いずれも「大作」というムードを漂わせる仕掛けだが、他局のヒット作である『VIVANT』の戦略を踏襲したところに、なりふり構わぬテレビ朝日の本気がうかがえる。さらにその本気を思わせる仕掛けはまだまだあり……それはどんなもので、成果は出ているのか。テレビ朝日のドラマにおける狙いと課題、変化と現実を含め、掘り下げていく。