チケット高騰&厄介な観劇ルール…加速する“演劇離れ”は止められない?ひろゆき氏「言いたいことを言う若者はYouTubeに流れた」
先日、演劇界に対する、とある投稿が話題になった。「どんなに面白くても1万円超えたら、平均的な収入の若い人はおいそれと見に来れない」。この投稿にあるように、いま演劇のチケットが高騰している。今年上演された、あるミュージカルでは、最も高いチケットが1万8500円と、3年前から4000円値上がった。いまや1席1万円超えは当たり前だ。 【映像】いろいろめんどくさい!大量にある演劇の「鑑賞ルール」 演劇界のチケット高騰には、物価の高騰(劇場費、美術費、衣装代など)と、劇団の崩壊(出演者のギャラ、スタッフの人件費など)の2つの要因があるというが…。劇団自体も人手不足になる中、演劇界はどこへ向かうのか。『ABEMA Prime』では、当事者やファンと考えた。
■生で演劇を見る楽しさもファン「最近の値上げはすごく影響がある」
演劇ファン歴20年、年間100本公演を鑑賞する江原薫さんは、演劇は「出かける前の服選びから、終演後に友達と感想を言い合うところまで楽しい」と語る。しかしながら昨今の値上げで、「『なんとなく面白そうだから見よう』と感じた作品より、どうしても見たい作品を優先するようになった」と、お金の使途は変化した。 新規開拓が減った背景に、「最近の値上げはすごく影響がある」という。「1万円を超えるなら、好きな作品の再演や、ダブル・トリプルキャスト版を見たくなる。年齢的にも既存のものを好むようになったのかなと思いつつ、ふと見に行った作品を好きになる気持ちは忘れないようにしたい」。 値上げについては、「いまS席は1万7500円。土日祝日はダイナミックプライスで1万8000円になる。急に跳ね上がった」と嘆く。最近はネット配信も普及してきたが、やはり劇場でリアルに見るのとは異なるようだ。「生で見ていない作品を配信で見ると、ある意味新鮮で楽しめる。ただ、実際に足を運んだ作品を見ると、映像とのギャップを感じてしまう」と、配信の物足りなさを指摘する。
■初心者にはハードルが高すぎ!マニアが決めた“観劇ルール”
“演劇離れ”につながる要因として、観劇ルールの複雑さも考えられる。基本編としては、「公演前にお手洗いなどは済ませておく」「劇場内で飲食をしない」「スマホは電源を切るか機内モードなど指示に従う」「公演中は私語厳禁」「途中入場・途中退場は控える」「上演前のアナウンスや前説で言われる注意事項をきちんと聞く」といったものがあり、これらは演劇に親しみがなくても、ごく自然な決まりに思えるだろう。 しかし演劇マニアが指摘する「応用編」になると、「姿勢は前のめりにならない(男性はかがみ気味で座る)」「帽子は必ず脱ぐ」「香水などは控えたほうがよい」「髪飾りはキラキラしないものを」「頭の高い位置で髪を束ねない」「パネル上げるのは厳禁」などが加わる。 これらのルールについて江原さんは、「なんでこのルールなのかと感じる部分はある」と正直に話す。「SNSにいる演劇好きの“お歴々”に、宝塚を初観劇する人が『何か準備した方がいいか』と聞いたら、5分以内に100個ぐらい『やっちゃダメ』が返ってくる」と、観劇に行く前に気持ちが萎えると心配した。 こうしたエピソードのもとで、「ファンの意識をパラダイムシフトする必要がある。ルールではなく、どれだけ楽しいかを伝えることで、もっと気軽に見に来られるようにしないといけない」と提案する。