【解説】プーチン大統領24年ぶり訪朝 ロシアと北朝鮮の関係強化に中国は“複雑” それぞれの思惑とは?
日テレNEWS NNN
24年ぶりに北朝鮮を訪れているロシアのプーチン大統領と金正恩総書記との首脳会談が行われました。北朝鮮・ロシア、それぞれの思惑について解説します。 藤井キャスター 「今日の2人の様子を見てみますと、満面の笑みで固い握手を交わしています。その一方で、この会談を複雑な思いで見つめている人がいるそうなんです。それが、中国の習近平国家主席だということです。どういうことなんでしょう?」
■ロシアと北朝鮮の思惑は…
小栗泉・日本テレビ解説委員長 「まずは、プーチン大統領と金正恩総書記。なんでこんなに仲良しなのかといいますと、今回の会談がどちらにもメリットがあるからなんですよね。ウクライナ侵攻を続けるプーチン大統領は戦況を優位に進めるために、今まで以上に、北朝鮮から大量の武器を調達したい。いわば『砲弾の生産工場にしたい』」 「一方で、金総書記は武器を提供する見返りに、『核や衛星打ち上げなどの軍事技術がほしい』。さらに、『落ち込んだ経済を労働者の派遣などで立て直したい』という思惑が見えるんです。国際的に孤立する両国の思惑が一致するメリットある会談だったとみられます」 藤井キャスター 「北朝鮮はもともと中国と近い距離にあって、支援を受けていましたよね?」
■露朝の蜜月ぶりに中国“複雑”
小栗泉・日本テレビ解説委員長 「はい。その通りなんですよね。今回、プーチン大統領が宿泊した迎賓館。金総書記自ら『重要な会談はここで行う』と案内していましたよね。ただ、実はこの場所は5年前(2019年)に、中朝首脳会談で中国の習近平国家主席も招待されていたんです」 「つまり、北朝鮮がロシアと並んで重視してきた中国との関係。でも、(中国と北朝鮮)両国の首脳会談は、2019年を最後に行われていないんです。北朝鮮と距離を置いているようにもみえる習主席。ロシアと北朝鮮の蜜月ぶりを『苦々しく』思っているというのです」 「中国総局の柳沢高志総局長によりますと、『中国にとっては、ロシアも北朝鮮も、中国なしでは経済も成り立たない、いわば“格下のパートナー”という存在。それなのに、この2つの国が結託して悪さをしているという国際的なイメージが広がって、後ろ盾となっている中国としては、“一緒にされたくない”という本音があります。それでも、アメリカに対抗する上で、この2つの国とは仲良くせざるをえず、中国としては表立って批判することもできない』ということなんです」 板垣李光人さん(俳優・『news zero』水曜パートナー) 「ロシアと北朝鮮、どちらも日本にとっては緊張感のある相手なので、その動向はすごく気になります」 藤井キャスター 「2人(プーチン大統領と金正恩総書記)の握手を改めて見てみますと、私たちからすると、平和からはかなりほど遠いところにある握手のように思えます。ただ一方で、この両者にとっては互いの狙いがうまく合わさった握手になっているんだと思います。次の握手が、世界に認められるような平和な握手になるように願っています」 (6月19日放送『news zero』より)