夏ドラマで最も輝いた次世代俳優は? ブレイクを果たした男(2)並み居る若手を圧倒…最高だったイケメン問題児
今期の夏ドラマも良作が目白押しだった。恋愛ドラマに医療ドラマなど、さまざまなドラマが私たちを楽しませてくれる。だが、やはり気になるのは出演する俳優だ。主役級のスターも良いが、隠れた未来のスターに目を向けてみるのも一興。今回は、2024年の夏ドラマで印象に残った、ネクストブレイク俳優を5人ご紹介する。第二回。(文・あまのさき)
奥野壮『ビリオン×スクール』
山田涼介主演の学園ドラマ『ビリオン×スクール』(フジテレビ系)で、奥野壮は周囲の生徒を暴力と威圧的な態度で抑え込む問題児・城島佑を演じた。 城島が問題を起こすようになったのには、彼なりの理由があった。スポーツ推薦で高校に入学するほど、陸上選手として将来を嘱望されていた城島。ところが足の怪我により部活を続けることができなくなってしまった。思いつめた城島は自殺をしようとするが、クラスメイトの東堂雪美(大原梓)に声をかけられて思いとどまる。 モノクロだった城島の世界に色が戻ってくるときの表情は印象的だった。命の恩人である雪美は、学園長の娘ということで周囲から陰口を叩かれていた。城島は彼女を助けたい一心で、周囲の人たちを威嚇する。これにより2人の孤立はどんどん深まってしまう。 山田演じる加賀美に、雪美の表情の平均値を見せられる。すると、自分と出会ったあとのほうが、雪美の表情が暗くなっていることがわかった。雪美を守るはずが、むしろ彼女を暗がりへ導いてしまっていた。城島は自分の誤りに気付き、ぐしゃぐしゃと泣き崩れた。 こんなことをしたかったんじゃない、ただ、自分を救ってくれた雪美を助けたかっただけなのに。そんな後悔が、言葉にせずともひしひしと伝わってくるようだった。 最初は間違いなく冷たい目をした嫌なやつだった。でも、それだけではないという奥行きと、城島の人間性を器用に表現してみせた。 (文・あまのさき)
あまのさき