【木暮ジャパン応援対談|西谷良介×渡邉知晃】「想定外が起きた時に、本来の自分の力が出る」|フットサル日本代表
2016年の経験があったからその先がある
──2016年大会の敗戦は今、どんな糧になっていますか? 西谷 今だから言えますけど、「どんな試合も最悪な状況への準備をしないといけない」ことを学んだ大会でした。2016年はみんな「最高の想定」はできていたけど「最悪の想定」はできていなかった。想定外が起きた時に本来の自分の力が出るので、そこでなにができるか。あの大会を終えて名古屋に戻ってからは心の持ちようがすごく変わったし、その後のメンタルの強化につながったと思います。 渡邉 あの経験がその後の「選手キャリア」のプラスに働いたかと言われると、正直わからない。ただ、選手としてではなく、「人生経験」としては大きかった。おそらく10回やったら8、9回は勝てるだろうという相手に負けて、「スポーツの世界に絶対はない」ことを痛感しました。きっとこれ以上の辛い経験をこの先の人生ですることはないだろうと思えた。だからあの敗戦は、生きる糧になったと思っています。この先、どれほど辛いことがあっても全部乗り越えていけると感じられるような、そんな出来事でした。 ──2018年のアジアカップは、その経験値も生きた。 西谷 それは間違いないですね。あの経験があったからこそ、2018年は地に足を着けてプレーできました。それまでアジアでは日本とイランが頭抜けていて、他の国との試合で0-2で折り返すことなんて考えてもいなかったですけど、「もしかしたら」という心持ち。だからたとえ失点しても、40分が終わった時に勝っていればいいというメンタル。振り返りたくもない大会でしたけど、2016年は「いい経験」でもあったと思います。 渡邉 たしかに、気持ちは切り替えられていたかもね。あとは監督によってスタイルの違いもある。2018年はブルーノ・ガルシア監督に代わって、もともと「試合開始1秒から最後まで気を抜くな」というタイプだったので、より一瞬の隙や緩みがなかったかも。