1年半で250万円貯めた!「1円も無駄に使いたくない」貯金にハマった作者は、ある日5000円の石けんに気づかされる【著者に聞く】
保険の営業職から内勤に異動になった途端、月給が10万も減額!待望の内勤だったが、10万も減るのは痛い。そこで、作者の小日向えぴこさんは「お金を貯めよう!」と貯金オタクに変身!月7万を目標に毎月クリアを目指すと、まるでゲームのようですっかりハマってしまった。こうして貯金が増えていく一方、えぴこさんは出費に対して異様な執着を持つようになる。貯金することにとらわれ、心の豊かさを忘れてしまったえぴこさんは、ある日5000円のソープと出会って――? 【漫画】お金を使うことが怖い!貯金オタクの話 今回は、小日向えぴこさん(@epico428)の書籍「貯金オタク、5000円の石けんで目覚める。金は生きてるうちに使い切れコミックエッセイ」を紹介するとともに、本作に込めた想いを聞く。節約、倹約したい人、目標のために貯蓄したい人、結婚、出産などで新たにライフスタイルが変わった人たち、今後のライフプランの参考にしてみては? ■月給が10万も減額!毎月7万円貯金をするために引っ越しをして、無駄遣いをやめた 給与の大幅な減額から貯金をすることにしたえぴこさん。貯金目標を決めて、家賃を削るために引っ越し。先取り貯蓄をして、できうる限りの出費を削った。家計簿アプリを使って収支を毎月振り返るようになると、通帳の数字は目に見えて変わっていく。 しかし、給与が10万円も減額したのに月7万円という貯蓄額は、かなり根をつめる結果となった。家賃、光熱費、保険料…固定費も削れるだけ削った。そうすると、さらに抑えたいのは食費や交際費となる。 えぴこさんの1カ月の食費は、12000円。ランチに誘われても、1回で1000円以上してしまうため断念。スーパーでは嗜好品、お惣菜コーナーには立ち寄らないという徹底ぶり。いつのまにかお金の奴隷となっていたえぴこさんは使うことに「恐怖」を感じたり、「罪悪感」を覚えるようになっていく――。 ■石けんが5000円!?でも、使うたびに癒やされる「価値」に気づき、「お金を使うこと」の大切さに気付いた ――貯金をする楽しさも使う楽しさもわかるので、共感する場面が多かったです。まずは、本作を描くことになった経緯を教えてください。 「コミックエッセイ描き方講座」という講座を受けたのですが、その講座の課題のひとつ「ネタ出し」で、最近自分が感じたことや経験したことをできるだけたくさん書き出していきました。そのなかで、お金に関する気づきや価値観の変化に関するネタが多いことに気づいたんです。また、本にするなら実用的な要素が欲しいと思っていたので、自分のFP(ファイナンシャルプランナー)としての知識や経験も盛り込むことができるのではないかと思い、このテーマで執筆することになりました。 ――貯金の虜になってしまったときと必要なときにお金を使えるようになったとき、どのような気持ちの変化がありましたか? 貯金にハマっていたときは「お金を使うのは悪いことだ」「お金を使ったらもったいない」という気持ちでした。ですが、5000円の石けんを使ったことや、気持ちのままにお金を使ってみる経験を通じて、少しずつ「お金を使うのって、いいことなのかもしれない」という気持ちが芽生え始めました。 加えて、コロナや環境の変化でやりたいことが制限されたり、体の衰えを感じ始めたり、ライフプランで100歳まで生きてもお金が余ることが発覚したり…、いろいろな出来事が重なって、最終的に「お金を使わずに死んだらもっともったいない!」という気持ちに行きつきました。 ――本作でこだわっているところ、見どころはどこでしょうか? 自分のお金事情を赤裸々に描いていることです。最初、数字をぼかして描くことも考えたのですが、収入いくらのうちいくら貯金して…と具体的な数字を出して、読む人にイメージしてもらいやすくしたかったんです。 コラムページも、貯金の基本4STEP、貯金オタクの失敗談、家計のリアルな予算、買ってよかったモノ、ライフプラン、やりたいことリストをクリアするコツ、お金を時間で買うならコレ…と超盛りだくさんです。とくにライフプランでは、実際に我が家のリアルなものを載せています。他人のリアルなライフプランを見る機会って滅多にないと思うので、おもしろいんじゃないかと思います。 ――貯金オタクが人生設計を考える大きなきっかけになったと思います。本書を通して伝えたいことはなんですか? 一言で言うと、「お金をちょうどよく使って後悔しないように楽しく生きよう!」ということです。「お金を思いのまま全部使おう!」と極端なことを言っているわけではなく、(人生に必要なお金を計算した上で)もっと自分が満足できる物や楽しい経験にお金を使っていこう!と伝えたいです。とくに、お金の面で不安やモヤモヤを抱えている人に読んでほしい本です。 また、本書は、あくまで一人の貯金オタクがお金を使う楽しさに目覚めていくという個人的な体験を描いているものに過ぎません。なので、「そのまま実践してね」という話ではなく、一人ひとりが自分に合ったお金との付き合い方を考える機会になったらうれしいなと思っています。 ――読者のみなさんにメッセージをお願いします。 いつも漫画を読んでくださり、本当にありがとうございます。私が漫画を描き続けられるのも、こうして書籍を出すことができたのも、読者の皆さまのおかげです。なかなかコンスタントに更新できなかったり、描くテーマもその時々で変わっていったりすると思いますが、これからも応援していただけたらうれしいです! 人生100年時代といわれる昨今。老いても楽しい時間を過ごせるように、一度お金の使い方を考える時間を作ってみるといいかもしれない。 取材協力:小日向えぴこ