吃音芸人「僕を見て笑って」 ドッキリ企画が物議、「表現」か「嘲笑」か #ニュースその後
インタレスティングたけしさんのネタとインタビュー
言葉がなめらかに出ない吃音(きつおん)を逆手にとって、お笑いの世界で生きようとする芸人がいる。フリーで活動するインタレスティングたけしさん(44歳、通称インたけ)だ。これまで公言してこなかったが、テレビ番組に端を発したある騒動をきっかけに「吃音芸人」を名乗り始めた。 【写真】吃音の若者が開いた「注文に時間がかかるカフェ」
しゃべる時、歌う時で別人のよう
「で、で、では、最後にう、う、歌を歌います」 ギターをかき鳴らしながら、たどたどしい口調で自虐ネタをひとしきり披露。すると、突然、ビートルズの「レット・イット・ビー」のワンフレーズを流ちょうに歌い上げた。しゃべる時、歌う時で別人のようになるギャップが笑いのツボをくすぐる。 多くの吃音者は歌う時には症状が出ないとされる。インたけさんは、こうした吃音の特性を芸に取り込んでいる。
「どもり」といじめられ
人口の1%が持つとされる吃音。言語障害の一つで原因はよく分かっていない。連発(わわわたしは)、伸発(わーーーたしは)、難発(………わたしは)といった症状がある。特定の言葉が出づらかったり、置かれた場面によって流ちょうに話せなくなったりするケースが多いが、人によって症状はさまざまだ。 物心がついた頃から連発の症状があり、小中高ではいじめられ、殴られさえした。でも持ち前の陽気さは失わず、中学生から好きなラジオ番組に自作のお笑いネタを投稿し始めた。 授業でなかなか覚えられなかった英単語の「interesting(面白い)」をペンネームに組み入れ、今の芸名につながった。
子供のうんちから芸の道を目指す
芸人を目指したのは、20代半ば。ある日、デパートで清掃の仕事をしている時、おもちゃ売り場で子供の大便を見つけた。どう処理すればよいか分からず、上司に報告する時に、慌てていたのか「う、う、うんこが……」といつもより症状が強く出てしまった。 上司は素朴にユーモラスに感じて「そのしゃべり方、面白いよ」「清掃員より、お笑いの方が向いてるんじゃないの」と言ってくれた。「冗談のつもりだったんでしょうが、僕は本気にしてしまったんです」 オーディションを重ね、やっと出演できたのは観客が数人しかいないお笑いライブ。ギターを手にコミックソングを披露していたが、図らずもネタの合間のトークで吃音のある独特のしゃべり方がウケた。 大手芸能事務所主催のライブでも人気を集めたが、ブレークとまではいかず、テレビに出たのは数えるほどだった。吃音者であることも公言してこなかった。