退職前に残りの有休「10日分」を使い切ろうとしたら、「ただでさえ辞めて迷惑かけるのに」という理由で拒否されました。従うしかありませんか…?
有給休暇は労働者の権利とはいえ、毎年100%消化できていないという人も多いのではないでしょうか。そして転職が決まった場合、退職前に一気に残りの有休を使いたいという人もいるでしょう。 ただ、現在の職場の上司などから、まとまった有休取得を拒否されてしまうこともあるかもしれません。本記事では、退職前にたまっていた有休を取ることを拒否された場合、どうすれば良いのかについて解説しています。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
有休は次の会社に持ち越せない
有休は労働者の権利であり、基本的には労働者の好きな時季に、目的を問わず取得できます。そして、有休は会社ごとに付与されるため、前職の有休残日数を転職先の会社に持ち越すことはできません。 そのため、どれだけ現在の会社で有休が残っていても、転職後の会社ではいったんゼロになります。ただし、子会社への出向などの場合は持ち越せる場合もあるため、そのような場合は社内の人事部門などへ制度の確認が必要です。
有休の取得時季は自由だが、会社が取得日を変更できる場合もある
退職すれば有休がなくなってしまうので、辞める前に現在保有している有休を全て消化したいと思うことは当然と言えるでしょう。 そもそも、原則として有休をいつ取得するかは労働者の自由です。ただし、法律上は労働者が休みを申請しても、その日が「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当すれば、会社は該当日の有休を拒否し、別日に変更するよう求めることができます(時季変更権)。
法律上は退職する会社で有休を取り切っても問題はない
以上のように、退職・転職などが発生していない場合であれば、「事業の正常な運営を妨げる」という条件に合致すれば、会社が労働者の指定した有休日を別日に変えることは法律的にも不可能ではありません。ただし、会社ができるのはあくまでも時季の変更だけですので、有休自体を却下するというのは別の問題です。 今回のように、退職・転職を伴う場合、労働者の退職前に会社が時季変更権を行使すれば、労働者は期限内に有休を取得することが困難となり、実質的に会社が「有休を却下する」という状況になってしまいます。そのため、例えば残りの出勤日が10日で、有休残日数が10日であれば、必然的に会社は有休を拒否することは不可能です。 退職日までに全ての有休を使い切ることについては、会社も拒否はできないと言えるでしょう。