セントビンセント首相、台湾との断交を否定 中央社インタビュー
(台北中央社)中華民国(台湾)と外交関係を持つカリブ海の島国、セントビンセント・グレナディーンのラルフ・ゴンザルベス首相は21日、台北市で中央社の単独インタビューに応じ、中国側の関係者がさまざまな場面で自身に接触していると明かしながらも、台湾との関係を断つ可能性を否定した。 ゴンザルベス氏は20日に台北市で行われた頼清徳(らいせいとく)新総統の就任式に出席した。2001年の首相就任以降、訪台は今回で12回目となった。 中国側の関係者が自身に対して中国を国家承認するよう要求してきていると明かしたゴンザルベス氏は、中国側に対し、中国との外交関係樹立は問題ないとの認識を示しつつも、台湾との関係を断つよう求めることはできないと返答していると説明。また中国が仮に台湾との断交という条件を放棄すれば、関係を持てると伝えていると話した。 セントビンセント・グレナディーンは2025年に総選挙を控えている。野党の新民主党は昨年、政権を取った場合には中国と国交を結ぶ可能性があると発言した。ゴンザルベス氏は同党が中国との国交樹立を望む背景には、中国企業がセントビンセント・グレナディーンのパスポートを売買して利益を得ようとたくらむ問題が潜んでいると指摘。台湾と断交するという主張は国民には受け入れられていないとした上で、新民主党が直近の選挙で苦戦したことから、25年の総選挙後も同国の政治的傾向の転換はないだろうとの見方を示した。 取材中、頼氏のことを「私の友達、ウィリアム」と頼氏の英語名で呼んだゴンザルベス氏。同日行われた頼氏との会談では冗談も飛び出し、まるで古くからの友人のようだったと振り返りながら、今後も頼政権と協力を深め続け、気候変動への対応など世界的な課題に共同で取り組んでいくとした。 (黄雅詩/編集:田中宏樹)