中国、石破首相の足元を見たか「米国べったりの岸田前政権よりは話ができる」
15日に日本の石破茂首相とペルー・リマで会談した中国の習近平国家主席は、首相が「戦略的互恵関係の包括的な推進」の維持を表明していることに対し「称賛する」と強調した。 【第2次石破内閣の顔ぶれ】新たに国交相に中野洋昌氏などが3人が入閣 残りの閣僚は再任となった 中国側には、石破政権への期待感が存在している。岸田文雄前政権がバイデン米政権と連携し、対中圧力の強化に動いたことにいらだっていたからだ。これに対して、首相が日米摩擦の要因になり得る日米地位協定の見直しを持論とすることは、中国にとって好都合といえる。靖国神社参拝に距離を置くなど、歴史問題でも中国に融和的な立場をとっているとみる。 北京の外交筋は「習政権は『米国べったり』とみなしていた岸田前首相よりも石破首相とは話ができると考えているようだ」と指摘する。 トランプ米次期大統領の就任を控え、中国は米国の同盟国との関係改善を急いでいる。「対中包囲網」を切り崩す狙いがあり、石破政権発足を機に対日関係の安定化も進めたい考えだ。習氏は会談で、日中両国が「アジアと世界において重要な国家」だとの認識を示した上、「両国関係は二国間関係を上回る重要な意義を備えている」と訴えた。 一方で、対日関係をめぐっては広東省深圳市の日本人男児刺殺事件や、反スパイ法に基づく日本人拘束など課題も山積している。中国国内での根強い反日感情に配慮する必要もあり、日中関係の改善は一筋縄ではいかないとみられる。(中国総局 三塚聖平)