覚醒した岡崎が狙う次の位置
コンフェデで、王国ブラジル、FIFAランク8位のイタリア、同10位のメキシコと対戦する1次リーグは、ストライカーとしての「個」の部分を覚醒させる上で絶好の機会でもあった。だからこそエゴイストの部分を全開にして戦い、自分自身の現在地を確かめたかった。 岡崎は「前だけを見る」に込めた思いをこう説明してくれた。 「そうは言っても気持ちの部分の話。守備をしていても攻撃に移る時間を速くする、ゴールを取るための形を強く意識して臨む、実際にゴール前でパスを受けた時に周りが見えないようだったら、なおさらゴールだけしか見ないといった感じですね」 イタリア戦では3対3の同点に追いつくヘディング弾を決め、メキシコ戦では2点ビハインドの状況で一矢を報いる一発を叩き込んだ。メキシコ戦直後には「一皮むけた自信がある」と手応えを口にしていた岡崎だったが、ブラジルから中東ドーハを経由して、約30時間のロングフライトで成田空港に帰国するまでには、新たな課題を見つけていた。 「一皮むけたと言っても、個人の結果の部分でのこと。チームが勝つための結果を出せなかった。2点は取れたけど、もっと取ることもできた。3連敗という事実を受け止めて、これからの1年間を本当に死に物狂いでやるしかない。点取り屋として、もっとやれるというところを世界にアピールするためには、リーグ戦の結果が重要になってくる。そこにはこだわっていきたい」 昨シーズンのシュツットガルトでは、25試合に出場して1ゴールしか挙げられなかった。周囲との連携を意識しすぎ、ストライカーの仕事に徹することができなかった悔しさも、今大会に臨む上での決意につながったのだろう。 シュツットガルトとの契約は来年1月末まで。ドイツのサッカー専門誌『キッカー』は、コンフェデにおける活躍が認められ、ブンデスリーガのマインツが岡崎獲得に強い関心を示していると報じた。その報道が事実ならば、約150万ユーロ(約1億9000万円)の移籍金が発生するだけに、シュツットガルトとしても前向きに応じるはずだ。 「それに関してはまだ……自分も詳しくは聞いていないので。ただ、プレーする環境がどこであれ、自分がやるべきことは変わらないというのが今まで貫いてきた考えなので。もっともっとサッカーが上手くならなければいけない、という大前提のもとで、ゴールを取るところでの個人的な部分の能力をもっと伸ばしていかないといけないと思ってる」 イタリア戦では右からのFKに対して勇気を持ってニアサイドに飛び込み、相手DFの前で頭をヒットさせてゴールネットを揺らした。メキシコ戦では相手の一瞬のスピードを生かして最終ラインの裏に抜け出した時点で、相手GKと1対1になった。いずれも十八番の形だが、ミドルシュートや1対1の仕掛けなど、バリエーションをもっと増やさなければ世界では戦えないと痛感している。