覚醒した岡崎が狙う次の位置
コンフェデ杯をグループリーグ全敗で敗退したザックジャパンの面々が25日、遠路、帰国した。課題ばかりが山積みとなった今大会において、一人気を吐き、存在感を示したのが、2ゴールを叩き出したFWの岡崎慎司(シュツットガルト)だった。岡崎は、この日、「自信になるというか、ひとつのきっかけになると思う」と、開幕まで1年を切ったW杯本大会へ向けてさらなる成長を誓った。 実は、各大陸の王者が集うコンフェデには「ある決意」を胸に秘めて臨んでいた。 「この大会では前だけしか見ないと決めていた」 自身の中に宿る「ストライカー」の部分を、より前面に押し出す。表現は悪いかもしれないが、ゴールを貪欲に求めるエゴイストと化す。きっかけは6月5日。W杯出場を決めてから一夜明けた会見の席で、MF本田圭佑(CSKAモスクワ)が放ったひと言にあった。 本田は「個を伸ばせ」と檄を飛ばした上で、チームメイト一人ひとりの課題を列挙。岡崎に対しては、FW前田遼一(ジュビロ磐田)とひと括りにしながら「決めるところはしっかりと決める」と指摘した。 短い言葉の中に込められた真意を、岡崎は痛感していた。ザッケローニ体制下において、日本は左サイドでチャンスを作り出すケースが多い。FW香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)とDF長友祐都(インテル)のコンビに、時には本田までが絡んで相手の守備陣を翻弄する。 その時、右サイドにはどのような役割が求められるのか。ボールを失い、カウンターを食らった場合に備えて中に絞るのがザッケローニ監督の定める規律だが、もちろんそれだけではチームの攻撃は機能しない。本田の檄を受けて、岡崎はこう語っていた。 「真司や祐都、圭祐が絡んでも、いつもシュートまで持って行けるわけじゃない。クロスやパスを送ってくれた時に自分がいいポジションにいれば、フィニッシャーとしての能力を発揮できる。チームメイトから頼りにされるFWというか、ストライカーの部分を自分はこれからの1年で磨かなきゃいけない。自分は献身的と周りからよく言われるけど、それを超えるくらいのイメージを植えつけられるような活躍をして、自信を身につければまた違ってくると思うので」 快調にゴールを量産し、日本代表の歴代4位にランクされるようになっても岡崎は満足していなかった。アジア相手のゴールが多い。FIFAランクの上位国からゴールを奪っていない。否が応でも耳に入ってくる批評は、誰よりも岡崎本人が分かっていることだった。