「優勝慣れ」でたるんだチームを一掃 12球団最年少43歳、オリックス岸田護監督の野望
パ・リーグ4連覇を掲げた今季は5位に終わったオリックス。中嶋聡監督が辞任し、岸田護新監督が誕生した。近鉄と合併して現在のオリックス・バファローズとなってから、他球団在籍経験がない初の生え抜き監督だ。球団では前身の阪急時代以来、44年ぶりの投手出身監督にもなる。〝ナカジマジック〟で暗黒期から脱出したはずが、勝利への「慣れ」が生まれて下降したチームを、青年指揮官はどう立て直していくか。 【写真】オリックスの秋季練習で山下舜平大と話し合う岸田監督 ■「気持ち」を強調 今季最終戦となった10月6日、中嶋前監督の辞任が電撃的に発表され、わずか3日後、岸田新監督の就任が発表された。そして11日には大阪市内の球団施設で〝初仕事〟となる就任会見が行われた。再建へ向け、その場で何度も強調したのは「気持ち」だった。 「プロ野球はお客さんに見てもらう商売。熱い気持ちをフィールドでパフォーマンスすることが仕事だと選手のときは思っていた。そういう気持ちが大事」 「全面的に気持ちが前に出て、モチベーション高く勝ちに向かっていくことを目指したい」 前監督はリーグ3連覇の後遺症ともいえる「慣れ」によるチームの緩みを指摘して去った。今年6月から1軍コーチに配置転換されていた岸田監督も「中嶋さんに任せておけば何とかなるという空気はあった」と認めた。そのうえで強調した「気持ち」は、「慣れ」を払拭するための第一歩ともいえるスローガンだった。 ■兄貴分から監督へ 2006年に入団し、オリックス一筋のプロ生活。オリックス・バファローズとなってから初の生え抜き指揮官だ。現役14年間ではAクラスは2度だけで、最下位が5度と厳しい時代に戦った。兄貴分として慕われ、背番号18を渡すことになった山本由伸(現ドジャース)ら多くの投手がその背中を見て育ち、投手王国になる礎の一人だった。 現役引退して20年にコーチとなって以降も、選手に近いスタンスで接していただけに、監督としての立ち位置は難しくなりそうなところ。それでも「無理に厳しさだけを強調しても、きっとそれは薄っぺらいものになっていくと思う。そんな響かないことよりも、やっぱり情熱を持ってやっていくということ、そこを大事にやっていきたい」。まずは自然体で、自己流の監督像を追い求めていくつもりだ。 ■異例の教育リーグ指揮