【MLB】 ドジャース対メッツのリーグ優勝決定シリーズを展望 大谷翔平の覚醒が鍵に ベシア不在は痛手
両チームの懸念点は?
メッツにとっての懸念はブルペンだ。信頼できるリリーフが限られている上、守護神エドウィン・ディアスもかつてほどの絶対的支配力はない。鍵を握るのは、千賀滉大やデイビッド・ピーターソンのようなジョーカー的起用ができる先発投手。この2人が軸となるであろうブルペンデーで、どれだけのパフォーマンスを発揮できるか。特にプレーオフで6.1回を無失点に抑えているピーターソンは、大谷翔平のようなドジャースの左打者に対するときの切り札ともなるだろう。 とはいえ、やはりメッツは既存のリリーフの奮起が求められる。地区シリーズ第5戦でタリック・スクーバル(タイガース)がついに攻略されたように、投手というのは対戦回数が重なるごとに打たれるリスクは増すもの。シリーズで2先発こなす可能性が高いリーグ優勝決定シリーズにおいて、先発投手がどちらも3巡目まで好投すると計算するのは酷だ。ましてやキンタナとマナイアは投手三冠を獲得したスクーバルではない。先発を早めに見切ってでも継投に移らないといけない局面は必ず発生する。 対するドジャースは、左の切り札アレックス・ベシアが故障し、枚数不足の危機に瀕している。地区シリーズでは3登板、被打率1割と完璧だったベシアを欠き、ドジャースのブルペン左腕はバンダのみとなった。地区シリーズにおいて、もともと投手力で大きく水をあけられていたパドレスを上回ることができたのは、そもそも求められるイニング数が多くなかったのも一因。限られたイニング数ならば、十分ブルペンの集中起用で補うことができた。しかし、最大7戦のリーグ優勝決定シリーズでは求められるイニング数は跳ね上がる。ベシアを欠くブルペンでそれを乗り切れるかどうか。 ただ、ドジャースにとっての光明は、山本由伸の復調だ。山本は地区シリーズ第1戦の炎上から立ち直り、第5戦では5回零封のエースらしい投球を見せた。中5日でローテを回す山本はリーグ優勝決定シリーズでは1先発しかできない可能性が高いが、支配的な先発がいるのは違いを生む。加えてもちろん、地区シリーズでは苦戦したフラハティ、ビューラーも奮起しなければならないだろう。 そしてそれを打ち崩さなければならない打線の働きも注目だ。 メッツは上位打線がきっちりと仕事を果たしてきた。リンドーア、ピート・アロンソ、マーク・ビエントス、ブランドン・ニモは、プレーオフで4人合わせてOPS.989、7本塁打と大当たり。さらに左打者でプラトーン要員のジェシー・ウィンカーもOPS1.239と大当たりで、ベシア不在で左腕が足りないドジャースにとっては脅威となる。 一方、ドジャースはまだまだリーグ最強の打線に火がついていない。特にムーキー・ベッツとテオスカー・ヘルナンデス以外の中軸が機能しているとは言い難い。地区シリーズでは20打数10三振と苦戦した大谷、怪我とも戦うフレディー・フリーマンの復調が求められる。 総合的に見れば、攻守に状態が良いのはメッツだ。MLB公式サイトの予想でも、メッツのシリーズ突破に58%の予想が集まった。またしても下馬評が低いドジャースには、シーズン中も苦しいチーム状況を払拭してきた強力打線、ひいては大谷翔平の覚醒が必要だ。