濃厚な1年を経て、欲張りな1年へ――。東京女子1・4後楽園で荒井優希の持つIP王座に挑戦する鈴芽の本音【週刊プロレス】
東京女子の毎年恒例“イッテンヨン(1・4)”後楽園にて、荒井優希の保持するインターナショナル・プリンセス王座に挑戦する鈴芽。それに向けて12月16日に調印式がおこなわれたが、本人はまだまだ話したいことがあるようだったので会見後にあらためて話を聞いてみた。 調印式の際に王者・荒井と思いを伝え合った
――今年1年は飛躍の年になりました。 鈴芽 昨年の年末に(プリンセスタッグへの)挑戦を決めて、なんやかんや3WAYのタイトルマッチになりまして。そのイッテンヨンで負けてまた悔しい思いをしたけど、その悔しさのままにタッグトーナメントを優勝して(3・31)両国でベルトを取って防衛を重ねて。(9・22幕張で)落としたものの、そのままアメリカに行って…みたいな年でしたね。 ――初優勝や初戴冠など、初めてのことが多かったです。 鈴芽 やってきたことが形になった年なのかなっていうのがすごくあって。人生単位でいくと、それこそプロレスラーになった年(2019年)は私にとっては一番濃い1年だと思ってるんですけど、そこに並ぶくらいの1年だったんじゃないかな。 ――来年はさらに濃い1年に…? 鈴芽 一発目でインターナショナル(=IP王座)を取って、タッグトーナメント2連覇ももちろん狙いますし。タッグのベルトも取り返したいと思っているので、欲張りな1年にしていこうと思っています。 ――今年はタッグのイメージが強かったが、来年はシングルの方でも結果を残そうと。調印式の最初、英語であいさつしていたのもインターナショナルへの思いの表れですか? 鈴芽 そうです、ワールドワイドで(笑)。ホントに英語はまったくできなくて、それは過去3回の海外遠征でも感じて。それでもリングはどこにいっても東京女子プロレスだなって思ったので意識していかないとなって。今後も喋れることにはならないと思うんですけど(苦笑)。 ――インターナショナル・プリンセスのチャンピオンになったら、英語は喋れるに越したことはないです。 鈴芽 自然に喋れるようになるかもしれないですね。海外に行ったり、海外の選手と闘っていくうちに。 ――そこはベルトと一緒に成長していくと。王者の荒井優希選手とは過去に2回シングルで闘い、両方とも敗れているんですよね。 鈴芽 はい…。最初は優希ちゃんがインターナショナルに挑戦する前だったんですよ(2022年2・11後楽園)。2回目は今年のシングルトーナメント(準々決勝=8・10大阪)の時ですね。これは初めて闘った時からなんですけど、彼女はめちゃめちゃ瞳が強いです。目力というか、迫力がすごい。あとタフだから、やってもやっても…みたいなところもあるし。だからこそ、私もまだまだいけるって気分になります。 ――向上心をかき立ててくれる存在だと。タッグを含めて、荒井選手から直接勝ったことも現状ないです。 鈴芽 そうなんですよ。なのでそこを年始に乗り越えて、さらに濃い1年にしていきたいところです。(荒井が鈴芽の)後輩って言われてますけど、私としてはずっと追いかけてきた立場なので。最初にシングルで負けた時から。ただ、でいじーもんきーとしては(7・20後楽園で荒井&宮本を相手に)防衛したりとかでタッグとしては乗り越えた、リベンジはできたけど…個人的にはまだまだ。 ――となると、今回の挑戦はベルトよりかは荒井選手への意識の方が強い? 鈴芽 うーん…そこはどっちもなのかなって思っていて。優希ちゃんが持っててすごく輝いて見えるっていうのもあるし。おこがましいことにデビュー時から「東京女子を好きになるきっかけになりたい」って私はずっと言い続けてるんですけど、それが一番できるベルトとも思っているので。アメリカ(遠征)とかもきっかけになって、さらにいま欲しいって思ったんです。 ――そんな王者は舞台をイッテンヨン後楽園に指定しました。相当なプレッシャーだとは思いますが…。 鈴芽 イッテンヨンっていう舞台で同世代でタイトルマッチができるっていう嬉しさの方が(プレッシャーに)勝っていて。優希ちゃんも言ってくれたように、私たちがそれぞれ全部出し切ったら応援して見てくれるお客さんにとっていい試合って思ってもらえる試合にはなると思うので。プレッシャーというよりは、私も全部ぶつけるし、荒井優希を全部引き出せるような試合ができたらと思っています。 ――お互いから「ライバル」という発言もありましたしね。最多防衛記録を更新し続けている荒井選手の王者たる姿はどう見ていますか? 鈴芽 私たちがタッグのベルトを取った時にもう防衛を重ねてて、そこからチャンピオンとして隣に並ぶことがけっこう多かったんですよ。取材だったり試合だったりで未詩さんと4人で並ぶことが。その未詩さんもだし、優希ちゃんもチャンピオンだなって思って…じゃあ私たちはチャンピオンらしくできてるのかな?って不安になったりしたんですよ。って思うくらいチャンピオンだなって思ってましたし、私たちが防衛したりとか落としたりとかを経験したことで、より1年守り続ける難しさっていうのは身に染みて分かっているので…すごいことをしているなって思っています。 ――そのパートナーである遠藤選手が9・8名古屋にて同王座に挑戦しました。 遠藤 会津に持っていきたいって言って有栖は挑戦してたんですけど…名古屋ではホントに2人にしかできないものすごい試合をしていて。それこそ、その時に「悔しい!」って思った。私は夏に負けたばっかりっていうのもあってすぐにいこうとは思ってなかったけど、(宮本)もかも含めてみんなに負けてられないって気持ちはずっとありました。立ち止まってる場合じゃないなと。 ――自分が荒井選手から取りたいという思いもありつつ、セコンドとして遠藤選手をサポートしていましたが、願っていたベルトの行方は…。 鈴芽 もちろん有栖ですよ(笑)。これは有栖とずっと言ってることなんですけど、でじもんでシングルのタイトルマッチがしたいんですよ。そのためにはどっちかが取らないといけないので。願わくば自分がチャンピオンとして有栖を迎え撃ちたいですね。 ――大きな夢のひとつですね。決戦までまだ半月くらいありますが、現時点でかなり緊張感はありますか? 鈴芽 もちろん。去年に引き続き休めない年末年始を選択してしまったなと思って(苦笑)。でもイッテンヨンに緊張感があるのはレスラーとしてすごく幸せなことだなと思うので。年末年始に実家に一瞬帰るか悩んでいるところなんですけど、それで休んでしまうのが怖いなって思いが自分の中で闘っているところです。 ――イッテンヨンで勝利し、手にしたベルト持って実家に帰るのはありかと。 鈴芽 ありですね(笑)。あと私はすごい気負っちゃうタイプで。タッグの防衛ロードの時も、いま思えばもっと楽しめばよかったってすごく思って。それこそ幕張で落とした時は、ちゃんとチャンピオンだったじゃんって自信が持てる試合だったんですね。だから心配とかより楽しまないと損だなって思っているので。プレッシャーとか丸ごと全部楽しめるようになっていきたいなって。いま思えばその緊張感とか全部自分の自信とか強さにつながってるいいものだったと思うので、丸ごと楽しいって思えるようなこれからにしていきたいなって最近すごく思っています。緊張感も大切に、でも気負いすぎずに…って。 ――そして直近の12・21八王子では荒井選手と最初で最後の前哨戦(渡辺未詩&荒井優希vs鈴芽&遠藤有栖)で激突します。 鈴芽 優希ちゃんはいままであんまり前哨戦をしたことがないみたいなので、どっちがいいんだろうって気持ちではあります。前哨戦をした方がいいのか、逆にしない方がいいのか。私としてはいま闘っておきたい気持ちもあるし、有栖と一緒だし、いまのプリプリのチャンピオン(未詩)ともぶつかれるっていうのは大きいかなと。この試合でできるかぎりヒントを得ちゃおうと思ってますよ。 ――荒井選手にヒント…弱点はあるんでしょうかね。 鈴芽 どうなんだろう…。弱点は分からないけど、長所でいえば折れないところですね。それはプライベートでも試合中でもどっちも。でも、その試合中に折れない部分に関しては私も負けてないから、そこの勝負でもあるのかな。あと打撃は怖い部分なんですけど、スピードでは私が勝っていると思っていて、挑戦が決まってから荒井優希とどう闘おうって毎日考え続けているので(笑)。イメージしまくってますよ。それこそ前に(辰巳)リカさんに挑戦した時はがむしゃらで、正直勝つビジョンが自分の中にあったかは分からなくて。でも今回はちゃんと勝てる未来を想像はできています。成長したし、自信も持っているので。 ――そんな自信を持って挑むIP王座戦に向け、最後にあらためて意気込みを。 鈴芽 優希ちゃんが(SKE48卒業という)すごくすごく大事な決断、発表をしたタイミングでもあるので、より一層強い荒井優希になってると思うんです。だからこそ私も挑戦した時の気持ちは変わってないけど、もっともっと気を引き締めてぶつかっていかないといけないと思っています。やっぱりまだ出会ったことのない人たちに東京女子を広めていきたい気持ちももちろんあるけど、何よりもいままで応援してくれて、何度も背中を押してくれた人たちが今回もまた期待して見ていてくれると思うので。そんな人たちに最高な試合をお届けした上で、私がシングルのベルトを持つ姿を見せたい。なのでイッテンヨンも応援よろしくお願いします!
週刊プロレス編集部