木村多江と貫地谷しほりが母娘に 「多江さんは誰に対してもウエルカム」
木村はムードメーカー 楽しかった撮影現場
― 母と娘の物語ということで、貫地谷さんは最初は娘さん役、後半はお母さん役。木村さんはお母さん役とおばあちゃん役。演じていかがでしたか? 貫地谷:あまり意識していなかったです。 木村:目の前に子ども(役)がいると、自然と母親になってしまうというか。 貫地谷:多江さんは、誰に対してもウエルカムな姿勢で。だからみんなが変な緊張もせず、みんなが楽になれる。そういう空気を作ってくださるので、ホントにありがたかったです。多江さんも暗い役だったと思うんですけど、現場ではすごくムードメーカーになってくれて、楽しかったです。 木村:つらい物語だったから、せめてそこで明るくしないと、もう息できないって感じで(笑)。私自身がしほりちゃんを愛おしいと思っていることが演技にも役立っているんです。愛おしいのにそれを表現できないっていう苦しさみたいなものを抱えている人だから、結果的に仲よくしているのがよかったなって思います。 ― 今回の作品の見どころは? 貫地谷:誰の中にもある感情が、この作品にはきっとあると思います。原作とはちょっと結末が違っていて、半歩前に進めるようなお話になっているので、ぜひご覧になって、何か感じてもらえたらなって思います。 木村:出来上がった映画を見たときに、ああ日本映画を見たっていう気持ちにさせてくれたんです。空気感とか匂いとか、昔ながらのノスタルジックな感じと、自分の中にもあるノスタルジーと、そういうのも含めて、日本映画としてとてもいい映画になっているので、そこを感じてほしいですよね。 狭い人間関係の中で、誰もが味わうことのある息苦しさ。そして誰もが夢見る、外の世界への逃避と癒やし。生きづらさを抱えた登場人物たちの葛藤とは対照的な、瀬戸内の広く美しい景色が印象的だ。 (取材・文・撮影:志和浩二)※インタビューは2017年9月16日に実施 2017年10月28日(土)より「望郷 夢の国」「望郷 光の航路」dTV独占配信