超成長企業・アマゾン減速の"兆候"は2022年にあった…世の中の潮流を読むために絶対外せない視点
2025年は、どのような年になるのか。立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は「予測をする際に私がまず意識しているのは、『兆候』を見逃さないということだ。たとえば、アマゾンは時価総額でアップルやマイクロソフトから大きく引き離されてしまったが、その根源的分岐点は2022年にあったのではないか」という――。 【図表】「2025年のビジネス」を漢字1文字で表すとしたら… ■「本物の潮流」を見極める 新しい年が始まった。年明けには、これからの世の中がどうなるのか、さまざまな予測が出まわる。特に今は不確実性の高い時代だ。2024年のニュースを振り返っても、「ブラックスワン」といわれるような想定外の事態が頻発した。世界全体に影響を与えるような予測不能な出来事は、今年も起きるだろう。 こうしたなか、ビジネスを進めていく上で、変化を予測することが重要なのは言うまでもない。しかし、予測はあくまでも予測であり、未来を完全に言い当てることなど、実際には不可能だ。 一方、実は世の中には、確実にこの方向へ進んでいくであろうと予測できる変化も少なくない。たとえば今後、日本で「もっと人口が減る」ことは各種統計からも明らかである。「もっと少子高齢化が進む」ことも、「もっと過疎化が進む」ことも、確実だと言っていいだろう。ところが、こうした予測できる変化を前提とせずに仕事をしている人は、意外と多いのではないだろうか。 ■「トレンド」と「トレンディ」の違い 持続可能なビジネス戦略の分野で、世界有数のリーダーとして知られるアンドリュー・ウィンストンは、著書『ビッグ・ピボット』のなかで、世界が直面する「重要な3つの潮流」を挙げている。ひとつは環境問題で、「もっと暑くなる」からクリーンなビジネスが支持される。2つ目に資源問題で、「もっと足りなくなる」からイノベーションが支持される。そして3つ目がガバナンス問題で、「もはや隠せない」から隠さない者が支持されるようになると指摘している。 また、世界的な未来学者であるエイミー・ウェブが創業したシンクタンク「Future Today Institute」は、変化の要因を見極めるには、「矛盾、変曲、慣行、工夫・創意、極端、例外・希少」に着目すべきと発表している。さらに同社は、従来の「インサイト(洞察)」に加えて、「フォーサイト(未来への洞察)」の必要性を説き、「トレンド」と「トレンディ」を見分けることが重要だと述べている。ここでいう「トレンド」とは本物の潮流のことであり、「トレンディ」とは一時的な流行に過ぎないものだ。