『ブラン監督、頭おかしくなったのかな?』男子バレー前監督が最後に明かした…石川祐希が“グー”を出した新技の秘話「世界が真似する発明になるかも」
パリ・オリンピックで、石川祐希が「グー」でブロックしていたのを、みなさんは覚えているだろうか? 【貴重写真】「パーじゃなくてグー」石川祐希がグーブロックをする瞬間&「涙が止まらない高橋藍」「ブランの前で子供のように泣く西田」名場面もすべて見る そしてグーブロックは日本で誕生したことをご存じだろうか? そんな「グーブロック誕生秘話」を披露してくれたのは、前男子日本代表監督、いまは韓国リーグの現代キャピタルで采配をふるうフィリップ・ブラン監督だ。 バレーボール特集Number1106号では、石川と高橋藍への「贈る言葉」を語ってもらったが、実は書ききれない要素が多々あり、そのなかにこの新しい戦術のことがあった。
『頭おかしくなったんじゃないの?』
ブラン監督が日本を指導し始めたのは2017年からだったが、列強の強烈なスパイカーに対して戦術的にどう対応するのか。それは日本の永遠の命題だった。 「日本の課題は昔も今も、ブロックです。試合内容を分析していくと、相手が日本の選手の指先を利用してワンタッチを取り、ポイントを取る戦略を採っているのが明白でした。世界のトップ選手は、それが出来るのですよ。そこで私が考えたのが『グーブロック』でした」 これまでのブロックといえば、五本の指を目いっぱい開き、少しでも高さと幅を出すのが常識だった(日本の中学、高校のバレーボール部員は、机の上に目いっぱい指を開き、グイグイと押し付けて、指を鍛えた経験があると思う)。ところが、ブラン監督はそこに疑問を呈した。 「大前提として、ブロックという技術において、指先はもっとも弱い部分だということです。私は、『だったら、弱い部分を隠してしまえばいい』と考えたのです」 五本の指を握ってしまえば狙われることはない。そして、このアイデアを思いついた時期を聞いて驚いた。 「2年前です。私は2年前にはグーブロックを思いついて、選手たちに提案したのです」 ところが、この画期的なアイデアに対する選手たちの反応は芳しいものではなかった。 「実際、私はデモンストレーションさえしたのです! でも、選手たちからは『このおじさん、頭おかしくなったんじゃないのか? 』という目で見られましたよ(笑)。ただ、革命的な発想が出た時は、人間、得てして拒否反応を示しがちなものです」 導入が進まないのを見て、一時はオリンピックでこの新しい戦術を採用することを諦めさえもした。 「私はアイデアに自信を持っていましたが、無理強いすることはしませんでした。選手たちが納得していないのに戦術を強要することは私の本意ではありません。選手たちは大人ですし、強制は良い結果を生み出しません。革命的なアイデアである場合は、納得と共感、そして時間が必要です」
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