不謹慎、だがド直球『デッドプール&ウルヴァリン』夢の共演をつないだ男たちの友情
ライアン・レイノルズ、ヒュー・ジャックマン、ショーン・レヴィ監督の友情
そんな中、『LOGAN/ローガン』(2017)でウルヴァリン役を卒業したはずのヒュー・ジャックマンは、なぜ『デッドプール&ウルヴァリン』で7年ぶりにこの役柄を再演することになったのか。その裏側には、劇中では水と油の2人が、プライベートではハリウッド屈指の仲良しコンビだという事情がある。 シリーズの過去2作を手がけたティム・ミラー、デヴィッド・リーチに代わり、『デッドプール&ウルヴァリン』の監督に起用されたのはショーン・レヴィ。映画『ナイト ミュージアム』シリーズやTV「ストレンジャー・シングス 未知の世界」(2016~)などの俊英で、レイノルズとは今回が3度目のタッグとなった。 レヴィの就任発表時、レイノルズは本作を「ショーン・レヴィ3部作の3作目」と呼んだ。“第1作”は、20世紀スタジオ製作『フリー・ガイ』(2021)。平凡な人生を送る主人公・ガイが、自分がオンラインゲームのモブキャラだったことを悟り、世界と人々を救うため奔走するアクション・コメディだ。“第2作”はNetflixのSF映画『アダム&アダム』(2022)で、未来からタイムトラベルしてきたパイロットのアダムが、少年時代の自分や愛する父親と協力しながら未来を守る任務に挑む物語だった。 「ライアンとは本物の親友になりました。高校時代以来、これほどの男友達はいなかった」とレヴィは言う。『フリー・ガイ』の創作を通じて仲を深めた2人には、ともにニューヨークの近所に暮らし、4人の子どもがいるという共通点もあった。 レイノルズとレヴィが親友同士になることを、なんと10年以上前に予告していた人物がいる。ウルヴァリン役のヒュー・ジャックマンだ。レヴィの監督作『リアル スティール』(2011)に主演したジャックマンは、当時すでに『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』でレイノルズとも共演済み。撮影中、ジャックマンはレヴィに「君がライアンと仕事をしたら、もうやめられないだろうね」と話したという。 レイノルズの信頼を受けて『デッドプール』第3作に登板したレヴィだが、このシリーズをMCUの中でどのように継続できるのか、2人は脚本開発に苦戦したという。あらゆるアイデアを提案し、いよいよ万策尽きたというころに、ジャックマンがウルヴァリン役の再演を決定したことが本作の実現につながった。 いまやレイノルズ&ジャックマンは、SNSで互いをネタにしあうほどの大親友。ジャックマンはウルヴァリン役からの卒業を決めたあと、『デッドプール』を鑑賞し、ひそかにデッドプールとの本格共演を夢みていたそう。レイノルズから今回のアイデアを聞かされるや、ウルヴァリン役の再演をすぐに決定したそうだ。劇中では、ふざけ倒すデッドプールをにらみつけ、怒りをぶちまけるだけで映画のトーンを一変させるほどの凄みを発揮。“レジェンド”の風格でレイノルズと渡り合う。