“欧州最貧国”の声も何のその モルドバから「LVMHプライズ」を驚かせたデザイナーら注目株3選
2.あくまで“服”を極め抜く姉妹
RXQUETTE
モルドバ出身の姉妹が12年前に設立したウィメンズウエアブランド「ラケット(RXQUETTE)」は、現地で最も高い人気を誇る。D2Cブランドとして、自社ECとアポイントメント制のショールームのみで販売していたが、昨年にホールセールを開始。高級EC「ファーフェッチ(FARFETCH)」や韓国のコンセプトストア「アデクヴェ(ADEKUVER)」、香港のコンセプトストア「ITHK」など6アカウントと取引をスタートし、日本では2024-25年秋冬コレクションからエストネーション(ESTNATION)での取り扱いが始まる。
イタリア・ミラノのマランゴーニ学院でウィメンズウエアのデザインを学んだ姉と、キシナウの大学でビジネスを専攻した妹の指揮のもと、主にフランスとイタリアの生地を使って、キシナウで生産している。“ワードローブの必需品”をコンセプトに、女性らしい体のラインを強調するカットやシェイプに、メンズウエアから踏襲したディテールを融合し、長く着用できるデイリーウエアを提案する。エッジの効いたスタイルに、モルドバの伝統的な手法で手編みしたクロシェや、古布のアップサイクルのアイデアを織り交ぜて、オリジナリティーを探求。ブランドを12年以上継続しているだけあって、素材や縫製といった品質の高さは先進国に引けを取らない。競合になるであろう「ガニー(GANNI)」などの北欧ブランドとほぼ同じ価格帯で、現在はバッグやシューズは制作しておらず、ウエアを中心としたコンテンポラリーブランドとして世界で戦っていく予定だという。
3.伝統と現在を美学でつなぐデュオ
OK KINO
昨年6月にモルドバの近隣国ジョージアの首都トビリシで開催された「メルセデス・ベンツ・ファッション・ウイーク・トビリシ(MERCEDES-BENZ FASHION WEEK TBILISI)」で出合った、キシナウ拠点の「オーケー キノ(OK KINO)」は、今シーズンはランウエイショーを行った。同ブランドは、地元の美術大学でファッションデザインとパターンを学んだダリヤ・ゴルネヴァ(Darya Golneva)と、建築学科を修士したデニス・カウノフ(Denis Caunov)が立ち上げたウィメンズウエアブランド。実験的なコレクション制作を経て、2024-25年秋冬コレクションが正式なセカンドシーズンとなる。