貴ノ岩への明確な謝罪なき日馬富士引退会見にネット上では非難殺到
これらのコメントが、相撲ファンだけじゃなく、この問題に関心を寄せていた人々には、“暴力を過剰にふるったのは悪いが、そうさせる態度をとった貴ノ岩も悪い”という言い訳に聞こえたようだ。 おそらく、それが本音でもあり、会見で思わず口をついて出たのだろう。貴ノ岩への明確な謝罪がなかったのも、そういう理由が根本にあるのかもしれない。しかし、そこにいたる理由が何であれ暴力は絶対に正当化されるものではない。 “かわいがり”という指導を名目にしたパワハラ、暴力が日常化していた相撲界の悪しき体質が、一部の部屋では、今なお改善されていないことを象徴するような発言だと感じた人も少なくなかった。 2点目は、伊勢ケ浜親方が、相撲協会の理事としてガバナンスを守らねばらないことに対する義務、責任について「問題なし」という見解を明らかにした点だ。 理事としての責任を問われた伊勢ケ浜親方は、「私は筋道を通してきちっとやってきました」と答えた。 さらに「対応が遅れたのでは?」と突っ込まれると、「何の対応ですか? 私は(事件を)知ってすぐに謝罪しました。電話でもしました。また謝罪に行くって言って断られたこともありましたけど、そういったことはきちんとやってきました」と、貴乃花部屋を謝罪に訪れながらも、無視されて面会できなかった出来事を挙げながら、「管理責任に問題なし」という姿勢を貫いた。 “謝罪を受け入れない貴乃花部屋サイドが悪い”というような態度である。 そもそも暴力事件が起き、貴乃花親方が鳥取県警に被害届を出す前に、親方として日馬富士が暴力事件を起こした詳細をいちはやく察知して、貴乃花親方の行動より先に協会へ報告しておかねばならなかっただろう。 3点目は、部屋の親方としての管理責任のある伊勢ケ浜親方が会見で逆ギレして、反省の姿勢を見せなかった点だ。
報道ステの富川アナから「(思い出の地である)九州場所で引退という決断をすることになりました。そのことについてどういう心境ですか?」という質問が飛ぶと、親方が横から口を挟み、「決めたというか、そうなったんじゃないですか? それを今言っているんだから、その質問はおかしいんじゃないですか」と返答した。つまり深読みすれば、“引退したくはなかったが、事件が表沙汰となり貴乃花親方が謝罪を受け入れず、被害届を取り消さずに和解しないから、そうなった(引退)”とも受け取れる発言である。この様子だけでは判断できないが反省の姿とは程遠かった。 親方は、さらに高圧的な態度で、イラ立ちを続けた。 同アナが「どの段階で引退を決意されましたか?」と質問を続けると、これも日馬富士でなく親方が割って入った。 「それは、さっき述べたじゃないですか。場所中に話をしているわけだから。同じ質問を繰り返さないで。もっと皆さん聞きたいことがあると思うので、同じ質問じゃなくて(質問者を)代わってください、一人(質問を)ひとつで。話をちゃんとしないといけないので」 「代われ」と言われた同アナがめげずに「今後、どんな形で角界にかかわりたいと思っているか」と質問を続けると、返答に困っていた日馬富士に対して、親方はマイクに拾われないように小声で「今日やめたばっかりだから出ないよ。黙っていればいいよ」と“指導”した。 そして「ほかの人に質問」と司会者にふって返答を拒否。 「きょう引退したばかりだから(次どうするかの答えは)出ないよ」と質問を制した。さらに、続く質問者にも、同じようなやりとりを伊勢ケ浜親方は繰り返して会場を異様な緊張感に包んだ。