貴ノ岩への明確な謝罪なき日馬富士引退会見にネット上では非難殺到
限られた会見の時間内で、角度を変えながらも結果的に同じ質問を繰り返した聞き手にも問題はあるだろうが、引退会見で伊勢ケ浜親方がやるべきことは、そんな記者の質問手法を問い正すことではなかった。例え、同じ質問が繰り返されようが、真摯に誠実に何度でも答えを返すべきだった。 この会見を見た視聴者が「伊勢ケ浜親方の態度に反省の色が見えない」と感じたのももっともだろう。 おそらく、暴力をふるった行為や、そういう体質を放置しておいた管理責任に対する反省よりも、被害を受けた貴ノ岩の師匠である貴乃花親方の毅然とした態度と謝罪を受け入れない姿勢が原因で引退に追い込まれたんだという、やるせなさが先に立っていたのかもしれない。 そこには数々の不祥事を教訓に、自浄作業を行い変革に乗り出していたはずの相撲界が部屋によっては、まだ何も変わっていないという根深い問題が見え隠れする。不祥事につながる悪しき体質は、まだ依然として残ったままなのだ。 今回の引退会見にネット上で非難が殺到したことを伊勢ケ浜親方や協会サイドはどう受けとめるか。 日馬富士の引退で、この問題を一件落着と幕を引くようでは、また不祥事が生まれた相撲界の温床、体質の改善にはつながらない。そう考えると、逆説的に物議をかもしだした引退会見にも意義があったのかもしれないが……。今日30日には相撲協会の理事会が開かれる。巡業部長である貴乃花親方の動向にも注目が集まる。